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酒好き
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短編2分
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爺ちゃんがいつもの山仕事してたある日。いつもなら1日働いて、日が暮れる前に仕事を片付けて山を降りるんだけど、その時期はやらなければいけない仕事が多く、しばらく山に籠らなければならなかった。そんな時のために山にはいくつか小屋が建ててあるんだけど、今回はその中でもしばらく使ってない小屋に籠ることにした。小屋にはそういう時のために、毛布やら乾物やら爺ちゃん特製の果実酒やらいかがわしい本やらが置いてあるんだが、その小屋に着くとどうも様子が違う。壁や屋根も痛んでないのに木の葉がたくさん落ちてたり、物の場所が変わったりしてたそうだ。 獣の寝床にでもなっとんのかいな?と軽く点検やら掃除やらをしていると、どう考えても乾物や酒が減っている。無類の酒好きの爺ちゃんはこれには大層腹が立ったそうで、すっかり暮れた山に向かって「ワシが大事に漬けた酒じゃ!返さんかい!!」と一つ吠えて、苛立ちながら残りの酒をチビチビ飲んで、早めに寝てしまったそうな。次の日、扉の前に、ということはもちろんなく、しばらく山に籠って仕事を片付けてから、爺ちゃんは山を降りたそうだ。家に帰ると婆ちゃんが鍋の準備をしている。これまたなんじゃいな?と思って婆ちゃんに聞くと、婆ちゃんは奥からムジナの毛皮を三頭分持ってきて言ったそうだ。昨日の夜中物置が騒がしいから朝になって見に行くと、ムジナが三匹寝ているその横で、ムジナが呑んだのか、浸けてあった酒が一瓶丸々空いていた。これは爺ちゃんに烈火の如く怒られると思って、酔ったムジナを鉈で『ご想像にお任せします』した。「爺ちゃんに、私が飲んだ訳じゃない証拠として見せるために、革剥いで取っておいたんだよ」と。じいちゃんも婆ちゃんが狩りなんか出来ないのは知っているし、小屋で酒が無くなっていたのもあって、犯人はこいつらだったかもしれんなぁと、ムジナ汁を飲みながら思ったそうな。
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