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飲み会から歩いて帰っていた
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母が体験したちょっと不思議な話。 お酒が絡んでたから怪しい話ではあるけど、 書いてみる。 ちなみに母は霊感がある。 職場の飲み会から歩いて自宅に帰っていたら、 いつの間にか地面に倒れていた母。 そこは大きな家の前庭みたいなところで、 母は塀に囲われた大きな木の側に倒れていたらしい。 飲み会は10時にお開きだったんだが、 母は暗いとこで倒れてたことにびっくりして、 「酔っ払って寝てしまったのか? 早く帰らなきゃ!明日も仕事だ」 と慌てて起き上がった。 そんで、 しばらく街灯が少ない田舎道をさまよった。 とにかく大きな通りに出て、 車を見つけようとしたらしい。 すると道中、飲んでいた店を発見。 扉を叩くが、 人はいないようで灯りもついていない。 ここで、鞄や靴がなく、 手ぶらであることに気付く。 携帯もない。 素面なら、 その店からの帰り道はわかるはずなんだけど (近いから自宅まで歩いて帰ろうとしてた)、 酔っ払ってたせいか帰り道が分からなくて、 だんだん不安になったそう。 またしばらく歩いてから、 今度は電柱の住所を見た。 知らない地名。 少なくとも自宅近くの地名ではなかった。 また歩いて行くと、 ようやく民家を見つけた。 山沿いにある集落みたいなところだったらしい。 家の引き戸を叩いて 「すいません!すいません!」 と助けを求めた。 電話を借りようとしたのかね。 でも、どれだけ叫んでも人は出てこない。 灯りすらつかない。 まあ、住人からしたら、 怖くて様子をうかがってたのかもしれない。 周りの家からも人が出てくる気配はない。 空き家か?と思い、 しばらく叩いても出てこないので、 また田舎道を歩くことに。 やがて広めの農道に出た。 もちろん街灯はない。 歩きながら 「誰か通らないか…」 と考えていた。 少しして、 後ろから静かに車が走ってきた。 暗かったから色はよく分からなかったらしいが、 黒っぽいワンボックスカーだったという。 その車はウィンカーも出さず、 スーッと母を10mほど静かに通り過ぎ、 左側に止まった。 「助かった!」 と思った母は、 その車に駆け寄った。 でも、車からは誰も出てこない。 普通、母のために止まったなら、 大丈夫ですかとか言って人が出てくると思わない? でも、出てこない。 変に思って、 近寄るのをやめて車の中を覗いたけど、 車内は真っ暗で人が居るかどうかもわからなかったそうだ。 母は小さい頃から霊感があったらしい。 登校途中に見えたり、 寝てるときに見えたり。 自分は霊感ないからわからんのだが、 母はその黒いワンボックスカーに 『何かおかしい、乗らないほうがいい』 という、 直感?第六感?みたいなものが働いたそう。 で、1分くらい、 ワンボックスカーから離れて、 違う車が来ないかと待っていた。 この間も、 ワンボックスカーから人は出てこなかった。 運良くすぐ次の車が来た。 田舎だし夜中農道を走ってるのは珍しい。 本当に母は運が良かった。 その車からはすぐ男の人が出てきて、 「大丈夫ですか?どうしたんですか」 と声をかけてくれた。 母はホッとして全身の力が抜けたらしい。 その男の人に家まで送ってもらうんだけど、 その人の車に乗った母は、 前に止まってた車を通り過ぎるとき、 もう一度覗いてみた。 やっぱり車内は真っ暗だった。 男の人もそのワンボックスカーを胡散臭そうに見て、 「あれあなたの車ですか」 と聞いてきたらしい。 幻覚とかじゃなく、 ワンボックスカーは実際に道に止まってたということだ。 自宅に到着。 時刻は朝の4時。 母がインターホン鳴らしまくって、 家に一人で寝てた自分は跳ね起きた。 ちなみにこの日、 世界史と英語のテストだった。 最初、 ヤバイ奴が来たのかと思って 無視しようと思ったんだけど、 「○○(自分の名前)!開けて!」 っていう母の声を聞いて、 急いで階段を降りた。 鍵を開けると、 母が倒れこむように玄関に入ってきた。 酒と嘔吐物と血の匂いがして、 「うっ」てなった。 母は口を切ってて、 顔に血が結構付いてたのだ。 翌日分かったことだけど、 母は左の鎖骨が折れてた。 飲み会だったことは知ってたけど、 朝帰りする母なんて初めて見たから、 めちゃくちゃ驚いた。 後ろから来た男の人にもビビった。 男の人から 「道に迷ったらしくて」 と色々説明を受けて、 すいませんでした、ありがとうございましたと、 とにかく頭を下げた。 母がお名前を教えてくださいって言ってたけど、 いいですよって言って、 男の人はすぐ帰ってしまった。 話はここで終わり。 ところどころが酒による幻覚だったとしても、 ちょっと気になるのは、 送ってくれた男の人は、 結構ボロボロだった母を見ても特段驚いた様子はなく、 終始落ち着いてたって母が話してたこと。 すごい人だ。 自分だったらめちゃくちゃ慌てる。 初めは暴漢に会ったのかと心配したし、 霊感のある母のこんな体験談を聞いて、 高校生だった自分は、 「もしかして、 ワンボックスカーは”お迎えの車”だったんじゃ…?」 とかビビってた。 まあ、母はその後も元気に暮らしてる。
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