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爺さんの教え
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長編5分
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友人と夏休みを利用して 山(と言っても低くお目当てはBBQとかだったが)に行こうと計画を立てていて、 まずはメンバー集めということで何人かに声をかけていた。 実際大学生で暇なやつが多く、 5-6人はすぐに集まった。 もう一人くらい呼ぼうかということで、 同じ学科で仲のいいAを誘うことにした。 俺「おーいAー、お前夏休み暇だろ?」 A『バイトくらいしか予定は入ってないな。 なんかあるのか?』 俺「寮の暇な連中集めて、 山に旅行というかBBQしにいこう」 A『あーすまん、 山ならおれはパスだわ』 Aはキッパリとした口調で断った。 のらりくらりとしているAにしては とても珍しいことだった。 俺「珍しいなー、 お前がそんなにキッパリ断るとは」 A『行きたいんだけどさ、 山にいくとなると爺さんに本気で怒られるからさ』 Aの爺さんには会ったことがあり、 気のいい人で怒る姿なんて想像もできない人だった A『俺の爺さん、 元軍人なの知ってるよな?』 俺「確か陸軍だっけ? 勲章見せてもらったな、そういえば… もしかして、山で戦時中に酷い目にあったからいくな!!とか?」 A『いやーそれが逆なんだよ』 俺「逆?」 Aが言うには、 爺さんは徴兵ではなく、 もともと士官学校?卒の結構なエリートで、 所属が山岳部隊。 その人がいればその部隊は安全とか、 『山のoo』なんて異名が付くような、 かなりすごい人だったらしい。 俺「ならなんで、いくなー!なんて怒るんだ? 逆についてきそうなほど元気じゃん」 A『あのな、いまから言う話は、 爺さんが今後の子孫にも絶対教えて家訓にしろ!って言ったことで、 本当かどうかわからんし、オカルトチックだぞ?』 俺「オカルト!オカルト!」 A『そういえば好きだったね…』 爺さんは第2次世界大戦中、 自分で前線へ志願したそうだ。 それも最前線でと。 しかしその頃は 半分教官のような立場であり、 役に立つ人材だった爺さん。 前線とは名ばかりの補給もしっかりした、 かなり安全な基地だったそうだ。 爺さんはひがな一日将棋でもしてるか、 基地の周りを散策してたそうだ。 ある日、 妙な噂が基地の中で流行ったそうだ。 「山の中で人間と猫?を合わせたような怪物がいる」 と。 俺は爆笑した。 Aは、 ほらぁ…っていう顔をしていた。 爺さんも同じ反応で大爆笑し、 暇を持て余していたこともあり、 「どれ俺が探してきて鍋にでもしちまうか」 などと言い、 夜、目撃があった山の中腹に、 哨戒がてら捜しに行ったそうだ。 行ったのは夜ということもあり、 爺さん含め山のベテランばかり。 山に入り、 やっぱりいないじゃないかガハハ なんて軽口を叩き合ってたらしい。 そんなこんなで折り返しのところをすぎ、 そろそろ帰るかーなんて言ってるうちに、 哨戒の列の一番後ろのやつが、 「おいー…なんか変な音がするんだけど」 なんて言い始めたらしい。 そいつはその中で一番若かったらしく、 ビビりめ!なんてバカにされて笑われてたのだが、 ザッ....ザッザッザッ.....ザッザッ なんて、 まるで軍靴の行軍みたいな音がしたらしい。 この話をしてるAが、 『これから話すことは、 俺も爺さんに聞いて笑って怒られたんだ、 笑うなよ…』 なんて言ってきた。 その音は、 真後ろというよりは 斜め後ろからこっちに近づいてるようであった。 幽霊とかは全く信じない爺さんらしかったが、 えもいわれない恐怖に襲われたらしい。 ザッ....ザッザッザッ.....ザッザッ 爺さんは手に持っていた小銃を向け、 どこの部隊だ!と叫んだそうだ。 そして痺れを切らし、 音のする茂みを超えると… 2足歩行している大きな猫?狸? 明らかに大きすぎる哺乳類の団体だったそうだ。 2足歩行で、 隊列というか守備良く並んで。 俺はまた爆笑した。 爺さんはよくわからん恐怖に陥って、 仲間共々逃げ帰ったそうだ。 基地に帰ってから、 夜は山に入らない!という規則を作ったそうだ。 それからは特に何事もなく、 戦争も終わり日本に帰ったそうだ。 A『これでおしまい』 俺「は?」 A『だから、 これが爺さんから聞いた、 山のはいるなって話』 俺「またまたご冗談」 A『ところがどっこい本当なんだよ、 山にはいくな!ってさ』 俺「……」 俺たちは進路を海に変え、 AとAの爺さんと共に良い休日を過ごしました。 蛇足で後出し申し訳ありませんが。 海に行ったときにA爺さんに詳細を聞こうとしたのですが、 「Aから聞いたのか? あーあー俺の情けない話なんかするなよなぁ」 なんて言いながら話してくれました。 ・歩いていたのですかいな?と聞くと、 隊列は言いすぎたかもなぁ。 ただ、結構均等に歩いてたんだぜ。 ・え?まじで二足で? おう!女の遍歴以外で嘘は言わないぞ、おじいちゃん(自分のこと)。 ・どれくらいいたの?人数?何匹か? 昔のことだからなぁ。 ただ、結構いたはずだぞあの音は、小隊クラスだったな! (爺さんいわく、小隊は30人~50人くらいだそうです) ・いまでもやっぱり猫とかだめなん? 怖いものなしだが、 猫とかと退屈は苦手だねぇ。 ・ほかにm いいから早く!日焼け止め塗ってくれよ! 老体には日差しがきついんだよな。 だそうです。
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