怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
鉢合わせ
お気に入り
729
15
0
長編7分
Audibleが1ヶ月無料キャンペーン中!
Audibleならホラー小説やミステリー小説をプロ声優が朗読してくれます。Audibleのおかげで通勤や待ち合わせなど退屈な時間が楽しみになりました。詳細はこちら
コピー
「鉢合わせ」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
子供の頃の体験。自分の通う小学校の地域には、児童館はあっても図書館がなくて、児童館自体も小規模で、遊具も卓球台が1台あるだけで、ろくに揃っていなかった。なので、ちょっと離れた隣の学区の、児童館もある大きな図書館に行くことが多かった。そこの児童館は、当然ながら違う小学校に通う子供ばかりで、いじめっこ風の奴や、上級生っぽい奴に気をつかわないで済むことと、珍しい遊具があったので、多少遠くても苦にならずに、頻繁に通っていた。 その児童館の遊具で一番人気で、一番目立っていたものがある。それは遊戯室のど真ん中に置かれた、直径3Mくらいの球体の遊具。頑丈なダンボールで出来たそれの表面には、いくつかの丸い穴があり、そこから入って、迷路みたくなった内部を通って、中央の大きな空洞にたどり着けるようになっていた。球体内部の通路の幅は、小学校低~中学年程度の子供が一人、這ってギリギリ通れる程度で、当然ながら、内部で人とすれ違うことは出来ない。なので、内部で誰かと鉢合わせたときは、気の弱いほうが後退して遊具から出なければならなかった。それから、低・中学年の子供でも、太めの子は内部で身動きが取れなくなる可能性もあり、ちょっと太めだった自分は、内部で詰まった時の脱出&救出シミュレーションをよく脳内でしていた。まず、大人が入れるサイズではないので、穴から手だけ伸ばして足をひっぱってもらうか、最悪は、ダンボールを切ってもらわないと出られないだろう、という結論だった。そんな太めの自分は、内部でだれかと鉢合わせて後退するのも手間どるので、なるべく人の少ないときを見計らって、その遊具で遊ぶことにしていた。とはいえ、人気の遊具なので、空くときはなかなかない。たいていの場合、仲良しグループと思われる数人が占拠していて、3~4人がぎゅうぎゅうに入れる中央部分で、閉館ギリギリまで延々とおしゃべりを続けていることが多かった。ただ、そんな人気遊具でも、独り占めできる瞬間があった。それは、閉館放送が流れ、児童館の先生が、子供たちを部屋から追い出しにあわられた直後、その球形の遊具にもぐりこんでしまえば、少なくとも数分間は一人で遊ぶことができる。先生も心得たもので、目に付く子供たちを追い出した後には、ちゃんと「中にいるやつ~、帰りなさい~」と声をかけにくるので、声が掛かったら素直に出ることにしていた。無視して遊ぼうとしても、ほふく前進をしているので、ズッズッという音でばれる。その日は雨で、児童館には外で遊べない子供がたくさん集まっていた。もちろん球体の遊具も満員御礼。しかたないので、自分は図書館の方で本を読み、5時近くになってから児童館に戻ってみた。さっき来たときよりは人が減り、球体の遊具も空いていそうな気配。それでも中で人とはちあうのは面倒なので、しばらく様子をみていた。いつものように「そろそろ時間だぞ~片付けろよ~」と、先生が来た。球体の遊具から、2人ぐらいが出て行ったと思う。それを見てから、自分は丸い穴から内部にもぐりこんだ。この球体、とうぜん内部に電気なんてついていないので、曇りや雨の日には、穴から差し込む頼りない蛍光灯のあかりだけをたよりに、薄暗い中を這って進んでいかなくちゃならない。それでも、中央の空洞に向かうだいたいのルートは覚えているから問題はない。先生の声が掛かるまでに中央部に到達しておきたいなと思い、俺は必死に前進を続けた。違和感を感じながら。なんとなく、いつもと感じが違っていたからだ。雨の日のせいなのか、ダンボールが全体的にしっとりとしていて進みにくい。内部の暗さもいつも以上。ついでに、自分のたてるズッズッという音の他に、遅れて音が聞こえてくる。なんだ、まだもう一人いたんだ…とがっかりしながらも、鉢合わせたらめんどくさいな~という気分になり、前進をやめて、入った穴から戻ることにした。前に書いたように自分は少し太めで、後退はちょっと楽じゃない。しかも、いつもはサラっとした床部分が微妙に湿っていて、動きにくくなっていた。必死に後退を続けていたわけだけど、頭の中は混乱し始めていた。後退して球体から出るときは、足の先で穴の位置を見つけて、そこから抜け出すようになるんだけど、なかなか爪先が穴のふちに当たらないのだ。そんなに奥まで入ってたっけ?そう思いながらも後退を続ける。もうひとつのズッズッという音は、順調に前進を続けている。俺はますます焦ってきた。なぜって、その音は、確実に正面から自分に近づいてきているからだ。このままだと、爪先が出口を見つける前に鉢合わせてしまう。面倒だから早く脱出しないと、と俺は後退を続けた。もぞもぞともたつく俺に、ズッズッ、ズッズッ、ズッズッ、という音が確実に近づいてくる。球体内通路のカーブの、すぐそこまで来ている感じだった。ようやく俺は、何かがおかしいことに気付いた。閉館案内の放送とともに流れるはずの音楽が、まったく聞こえない。後退を止めた自分の鼻息と、ズッズッ、ズッズッという音だけが聞こえる。音だけ、だ。普通、ダンボール製のこの遊具の内部で人が動いているときは、それなりの振動が遊具全体に伝わるはずなのに。でも、音だけは確実に俺に迫ってきていた。こういう話でありがちなんだけど、『よせばいいのに』って行動、本当にとっちゃうものなんだよね。ほふく前進ならぬ、ほふく後退をしていた俺は、首が楽なように床面を見ながら移動していたわけで。後退を始めてからは、首を上げて通路の前方を見ることはしていなかった。なんで顔を上げちゃったんだろうと、今でも後悔してる。ズッズッ、ズッズッって音がやんだ一瞬、無意識に顔を上げた俺が見たものは、俺の顔から30センチほどの距離で、怒りの形相をしたオッサンの顔だった。うわっ!と思った瞬間、足を思いっきり引っ張られた。もうチビリそうだった。足を引っ張ったのは児童館の先生で、「帰りなさい」と俺に言ってきた。俺はダッシュで児童館を飛び出した。以来、その児童館にはいかなくなった。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
この話は怖かったですか?
怖かった15
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
漫画売れ筋
葬送のフリーレン(13) (少年サンデーコミックス)
【推しの子】 14 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
トリリオンゲーム(9) (ビッグコミックス)
山田くんとLv999の恋をする(9) (MFC)
メイドインアビス(12) (バンブーコミックス)
メイドインアビス(11) (バンブーコミックス)
前の話:【じわ怖】神に愛されるという事
次の話:【じわ怖】霊は孤独
怖い話 No.19302
【じわ怖】電子顕微鏡観察
1222
32
短編2分
怖い話 No.13386
【じわ怖】ブロンズ製?の仏像
1074
24
短編1分
怖い話 No.21934
【じわ怖】ショッピングモールの地下1階
986
6
中編4分
怖い話 No.12329
【じわ怖】ばあちゃんの部屋
1208
34
中編3分
怖い話 No.13036
【じわ怖】公園でギターの練習
1411
40
怖い話 No.18990
【じわ怖】ここにいたあ
1068
30
怖い話 No.5150
【じわ怖】夢遊病の人が寝た状態で徘徊する時
958
31
怖い話 No.21959
【じわ怖】林間学校で肝試し
952
38
1
怖い話 No.3937
【じわ怖】生血を吸う
1320
46
怖い話 No.5295
【じわ怖】線路と川の間にある平地
1210
49
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
牛の墓
不思議
まんじゅうのせい
調理中
中年男性との交流
終わらない夢
取り囲まれた家
サキちゃん