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監禁
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もう何年前かは覚えてないけど、廃ホテルに友達と行くって話しになって、俺、いつものように事前に仕掛けをしに行くことにした。 そこはだいぶ前に廃業に追い込まれた結構規模のでかい3セク総合レジャー施設兼ホテル。プールがあってそこで昔小さな女の子が溺死、というありがちな場所。 人気のない山奥で谷間にありつぶれるのは当然だろうと思った。まあ霊なんか信じてなかったから夜にいったんだけど、いつも使ってるヘッドライトが点かなくなって仕方なくキーホルダーについてる赤いLEDのライトだけを頼りに中に入った。 まず、例のプールに行ったわけだがそこで運良く小さな女の子用の水着が落ちていた。おそらく、誰かが噂を知ってて悪戯で仕掛けたものだろう、とそのときは思った。 俺はそれに客室の枕か何かを詰めて人っぽくして立たせる、というのを思いついて枕を調達しようと客室に向かった。何階か上がったところで客室のある所に来た。 そのときくらいから風の音の混ざって女の声が聞こえていたんだけど、そういう声は沢沿いで風のある山の中ではよく聞こえるもので自分の心理状態によってはいろんな音にも聞こえたりするのは山や沢によく行く俺の実体験として知っていた。だからそんなに気にしてなかったんだけど、その時の声、俺が客室の中に入ったくらいからどう考えても風の音に混ざらずに、建物の中から聞こえることに気づいた。 声からして、おそらく下の階にいるのだろうか。もし誰か来たらまずいと思って非常階段から逃げようと思ったときに階段を誰かが上がってくる音がしておそらくライターの火かなんかの明かりが見えたので、俺は元の客室の戻ってじっと息を殺していた。 こんなとこ一人できているのがわかったら絶対通報されると思った。声の主は2人くらいかで、ボソボソ言っていて何話してるのかは全くわからない。 はっきりと姿を見ていないからひょっとすると霊、、、なんてことが頭の中にふと浮かんで、かなりガクブルだった。しかも、声の主はすべての部屋を見て回っているようだ。 やばい、と思った。正体が何であれ、というか霊なら生きて帰れないかもしれない。 声が明らかに俺のいる部屋に近づいてきて、向かいの部屋に入る足音が聞こえさらに俺のいる部屋の窓に反射して2人の人影が向かいの人影が見えた。反射して見えた人影は火の明かりのせいか揺れていて、とても人間のそれには見えない。 俺はそいつらが向かいの部屋にいる間にそっと抜け出そうとした。そのとき足音達に気づかれてしまったようで、咄嗟に向かいの部屋のドアを閉めた。 その部屋からは「うやぁ~、、、」という声がしてドアにしがみつこうとする音が聞こえて俺は必死にドアノブを押さえつけて開かないようにした。ドアノブがグイグイ内側から回される感触が伝わって、恐怖しながらもってきていた仕掛け用のビニール紐を結ばずドアノブにグルグル何重にも巻きつけそれの片方を向かいの俺がひそんでいた部屋のドアノブにまた巻きつけてドアが開かないようにして結ぶと、一気に階段に向かってダッシュした。 階段室に入るとき振り向くと、張った紐はほどかれかけており、叫び声が聞こえ、腕がドアの隙間からヌッと出ているような気がした。階段を3段飛ばしで駆け下りてその廃ホテルを出るとダッシュで車に向かった。 そのまま猛スピードで帰り、友達の家に行った。落ち着いたあと、友達に顛末を話すと、ものすごく怒られた。 お前の行動が原因で監禁事件に発展しかねない、すぐ助けに行って謝ろうっていうことになった。2度と行きたくなかったけど他に集まった友達2人も同じこと言うもんだから俺も観念して再びそこに行くことになった。 向かってる途中、下手すれば俺、警察に捕まるなぁ~って思いながら不安になった。廃ホテルに着くと、友達は率先して前を歩いてくれて、俺は後ろから俺が紐を張った部屋まで案内した。 その部屋のある廊下まで来ると、まだほどかれてない左右に張られた紐があった。友達が、「誰かいますかぁ~」と叫ぶが反応はない。 すぐに紐を切ってドアを開けたが、中には誰もいなかった。友達は「本物見たな。 」とか「よかったな犯罪者にならなくて」とか言ったけど、俺はもう1秒でもそこにいたくなかった。それを察してくれて、俺の隠れていた部屋だけ見て帰ることにした。 俺のいた部屋は窓が開け放たれていて、ドアを開けたとたんに風が吹いてきてみんな一瞬ビビッたけど、特に変なものも無く「まぁ、貴重な体験だったなと」俺は笑われながら車に戻った。帰りの車の中で、友達の一人が変なことを聞いてきた。 「おい、腕がドアの隙間から出てたのってどっちの部屋だった?」俺、それ聞いて、ビクっとした。閉めた部屋だと思ってたけどあんま覚えてない。 でも、俺、ひそんでいた部屋の窓開けた覚えは無い。でも、反射して映った人影見えていた。 友達は俺が返事する前に言った。「反射してたんじゃないんじゃないか?そのとき窓の外にいる何かを見たんじゃねーの」「お前が向かいのドアを閉めたときずっと後ろにいたんじゃねーの、お前がいた部屋のドアノブで紐を固定して、、よかったな」死ぬほど怖かった。 この日から霊を信じるようになった。もう見たくないけど。
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