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俺が霊感少年ウラと出会ったのは中学のとき
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とんだチキン能力者の話を一つ。 俺の友人に、とても霊感が強いヤツがいた。 ただ強いだけでなく、側にいる人間(全員ではないが)も見えてしまう程だ。 俺が霊感少年ウラと出会ったのは中学のとき。 その頃から、そう言う意味で有名だった。 中2で同じクラスになり、好奇心旺盛な俺は早速話しかけ、 「一緒に霊所スポットへ行かないか?」 と誘ったのだが、 ウラは見える能力のせいか、 自分からそう言った場所にはけして近づこうとはせず、 それどころか、かなりのチキン野郎だった。 でも、どうしても自分の目で幽霊が見たかった俺は、 夕方にウラを遊びに誘った。 そして、男子数人と首つりがあったと言われる公園へと、 うまく誘い出す事に成功した。 暫く公園をうろついたが霊なんて出る気配は無く、 諦めかけていたとき、 「あ~あ、やっぱり幽霊なんて出ないな」 誰かがポロっと言ってしまい、 ウラに今日の計画がばれてしまった。 最初はふてくされていたウラだったが、 「全然恐い感じしないし、みんないるから今日は出ないよ」 とウラが言ったので、その日は帰る事にした。 ところが、ネタを証しても怖がらないウラが面白くなかったのか、 幽霊が出ないからか、みんなでウラをからかい出した…。 「ここは落ち武者の霊も出るって有名なんだぜ~」 と俺が言うと、面白いくらいに怖がるので、 みんなでどんどん話しを大きくしていった。 「…それで、血を流した落ち武者が手招きを…」 「やめてよ…やめてよ」 怖がるウラを見てウシシと笑っていると、 「なぁあれ何だろう?」 木陰のすみを指して誰かが言った… 「え?何々?わかんないよ」 中には見えていないヤツもいたが、 俺と最初に見つけたコウジには、 ハッキリと手招きする血まみれの武者が見えた。 それを見て大声で叫んだウラを合図にパニックになり、 皆散り散りにその場を逃げ出した。 俺は次の日に知恵熱を出し、学校を2日も休んでしまった。 2日目の夕方学校帰りのコウジがお見舞いに来てくれた。 俺が呪われたのでは?と心配したらしいが、 俺自身はすっかり元気になっていた。 話題はもちろん公園の落ち武者…コウジは酷く怯えていたが、 俺は思ったより平気だった。 それどころか、何か引っかかっていた。 「それでさ、学校は落ち武者の霊の話しで持ちきりで。 落ち武者の伝説がいっぱい出てきてさ、 俺なんて見ちゃってるから恐くて、話題に入れなかったよ… ウラなんて超チキンじゃん?びびりまくって学校早退してたよ」 コウジの話を聞いて、無理矢理連れて行った事を改めて悪いと思った。 コウジと落ち武者について話し合っていて、ある事に気づいた。 コウジが見ていた落ち武者と、俺が見た落ち武者が違っていたのだ。 「首が無くて全身血まみれ、大きく手を振っていた」 とコウジは言ったが、俺が見た落ち武者は顔があったし、 手招きは指だけだった。 そして幽霊を見たと言うことで忘れていたが、 落ち武者は、あのとき俺が付いた嘘だった事を思い出した… 落ち武者なんているわけ無いのに、俺たちは落ち武者を目撃した。 この謎が解明されたのは、数ヶ月後の廃病院での事件の後。 話しが長くなるので端折らせてもらうが、 ウラは霊能力者では無く超能力者だった。 自分自身に 『幽霊がいる』 と言う暗示をかけ、パニックになると、 その暗示が回りに伝染するのだ。 見ている幻覚は個々がイメージした霊なので姿はバラバラ。 『落ち武者』 と全員にポイントが伝達されていれば、 個々がイメージした『落ち武者』が見えるのだった。 ウラのこの能力に、俺とコウジは卒業までよく振り回された。 その話をまたの機会に書きたいと思います。 それでは…。
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