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ばあちゃんの力
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実話です。 うちの祖母は実家で祈祷をやってた (今は辞めてます) 子供のころから 祖母がその手の話をおれに聞かせてくれてた関係で、 小、中学生くらいまではおれもふつうに霊とか信じていた。 でも自分に霊感が全くないことも味方し、 高校にあがる頃にはなんとなく信じられなくなって、 「霊なんか居ないのに、 うちのばあちゃんは何で平然と嘘つくんだ? 詐欺師なのか?」 みたいな感じで、 祖母と若干距離を置くようになっていた。 精神的に。 そんな状態が、 だいたい大学二年くらいまでつづいた。 で、大学二年生のときの話。 あるとき母と姉が近くに遊びに来ていて、 おれの下宿に泊まることになった。 晩飯を奢ってもらい、 スーパー銭湯いって、 帰りにツタヤでDVDを何本か借りて 三人で下宿に戻った。 姉が 「ほんとにあった呪いのビデオ」とかの心霊系のを借りていたので、 寝る前にそれを観ることになった。 部屋の電気消して、 怖いDVDを観た。 てきとうに選んだけど 内容は「当たり」だった。 おれは幽霊を信じていなかったが、 ホラー映画や心霊特番などを観ると けっきょく怖くなるだけの素直さは残っていたのだった。 おれと姉はゾクゾクしながら 心霊動画を観た。 母は電気を消した五分後には すでにいびきをかいている。 DVDも観終わり、 灯りをつけて布団を敷き、 おれたちは床に就いた。 母はロフトに敷いてあるおれの布団で寝ており、 おれと姉はひとつの敷布団にタオルケットをかけて 一緒に寝ている状態。 灯りを落とす。 おれは妙に寝付けなかった。 はじめは単純に、 DVDが怖くてその余韻で 寝れなくなっている状態だったんだけど、 だんだん様子がおかしくなってきた。 全身にガタガタと震えがきて、 冷や汗が大量に出始め、 体温もどんどん下がっていった。 あとキーンという耳鳴りもする。 こう書くと風邪の初期症状っぽいけど、 全然違う。 頭痛も喉の痛みもないし 熱っぽくもないし 意識もはっきりしている。 ただただ震えと冷や汗と耳鳴りが止まらなかった。 とにかく怖い。 自分の中にこんな感情があったのかびっくりするほど、 おれはびびっていた。 すぐ隣には姉が居たし ロフトには母親も寝ているのに、 一人で深夜の廃病院に居るのと同じくらい怖かった。 電気つければいいじゃん、 という話だけど、 そのときのおれは 明るく照らされた室内もまた怖かった。 自分の部屋が 全く知らないやつの部屋みたいに思えて しょうがなかった。 「これ、今夜ぜったいに幽霊を見てしまう」 と思いながら、 おれはタオルケットに潜り込んで 姉に寄り添うみたいにして震えた。 ※ちなみに途中、 三十分くらい布団のまわりを 延々ぐるぐると歩き回る足音を聞いたけど、 これは気のせいかどうかいまだに不明。 朝になると、 昨夜の恐怖は嘘みたいに薄れていた。 姉と母に話そうかと思ったけど、 たぶん馬鹿にされるだけだから、 黙っておいた。 けっきょく霊も見なかったし、 きっとおれが極度にびびっていただけだなー と納得したのだ。 でも、ふたりが帰ったその翌日に さっそく実家から電話が入った。 電話の姉の声はえらく興奮していた。 「あんたんとこに泊まった晩さー、 ばあちゃんが妙に胸騒ぎがしたとかで、 あんたの部屋を霊視?したらしいんだけど、 すごいよ! 女の浮遊霊が部屋に入っていたんだって! 自殺した感じの女だったらしいよー」 「なにそれ?いまも居んの?」 「もう出て行ってるって…… ばあちゃんには言えって言われた まだいるんじゃないの ばあちゃんの御札を郵送するから、 北側の壁に貼っとけってさ」 おれは電話のあと すぐに友達の家に泊まりに行った。 後日ゆうパックで送られてきた御札を、 おれは言いつけどおり北側の壁に貼り付けた。 それ以降、 部屋で同じ現象は起こらなかったけど、 ばあちゃんを信じるには十分な出来事となった。
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