リア工のとき、
現国担当の先生が神社の娘、
英語担当の先生がお寺の息子だった。
だからよく神社、
お寺に関する不思議話を聞かせてもらっていた。
そのうちの1つ。
家が神社だったので、
小さいときはよく神社の中でかくれんぼや鬼ごっこをして遊んでいたそうだ。
親は結構寛大なほうだったらしく、
神社でチョコチョコ走り回っても怒らなかったが、
あるものだけには絶対に近づくなと、
何度も言い聞かせていたという。
あるものというのは、
昔から代々伝わってきている屏風だったらしい。
ある正月のこと。
従姉妹が遊びに来て先生大はしゃぎ。
親が言っていたことをすっかり忘れ、
従姉妹とかくれんぼしているうちに、
屏風に近づいてしまったという。
すると、屏風の影から見知らぬ子供が出てきて手招きしたらしい。
「初詣に来た子が迷子になったのかな?」
と子供をよく見てみると、
その子供の服装が少しおかしい。
真冬のこの時期に白い薄手の和服一枚。
あわてて屏風が見えない位置まで移動したところ、
先生を探していたらしい親と従姉妹が泣きそうな顔をして立っていた。
曰く、丸一日先生は姿を消していた……。
先生にとってはほんの少しの時間(長くて数分程度)だったらしいけど、
実際はもっと時間は経っていたという。
「神隠しっぽいものだったんかもね」
先生は笑って言った。
ちなみに、先生の実家である神社には未だに屏風があるそうです。