俺のおじさんがタクシー運転手してた頃の話。
夜中に男2人組を乗せたらしい。
何故か一人は助手席に乗り込んできた。
行き先は住宅街。
10分程沈黙していた助手席の男が、
突然
「運転手さん子供いる?」
と聞いてきたらしい。
おじには2人子供がいて、
末の子供が重度の障害者で一生面倒を見なくてはならない。
そのためにもしっかり働いて蓄えをしておかないといけない、
というようなことを話した。
やがて目的地に着いたところで助手席の男が、
「ホントはなぁ運転手さん。
あんた殺して金を奪おうと思っていたんよ。
後ろに座った男に合図したら、
後ろから心臓一突きする手筈でな。
けど運転手さん、俺のオヤジに面影が似てたから、
ちょっとためらったわ。
それで子供のこと聞いてな、
もしいないって言ったら実行しよう思ったけど、
あんな話聞いたらやる気も失せたわ」
といって出ていった。
おじはその日の内に会社を辞めて、
今は警備員の仕事してます。