五年前一緒に働いていた友人の話。
当時かなり大きな病院の厨房で働いていたんだが、
早番(といっても夜中3時くらいの出勤だった)の為に一人で厨房にいた。
その友人は、まだ早い時間だから一服しようと喫煙所に行こうとした。
その当時厨房は地下にあり、右隣に霊安室、正面に売店があり、
真上の一階には救急病棟があった。
友人はコーヒーでも買おうと、
売店の横に設置してある販売機に向かった。
すると真後ろから
「ねぇねぇ」
と、か細い声が聞こえてきた。
夜中3時だし人なんているはずない…
そう思い恐る恐る振り向いたんだ。
するとそこに、
二十代位の女の子が立っていた。
立っていたんだが…
見るからに異常だった。
頭が陥没し服はボロボロ。
血まみれだった。
友人はその場に腰を抜かしてしまった。
何か女の子が呟いている…
友人は聞き取ろうと必死に耳を傾けた。
「…コはどこですか」
友人は泣きながらも耳を傾け続けた。
するとだんだん聞き取れるようになってきた。
「…バコはどこですか」
友人は震えながらも勇気を出して聞いて見た。
「何ですか?」
「タバコはどこですか」
友人は、虚ろな目をしている女の子が
タバコを求めていることを知った。
するとさらに、
後ろから看護師と医者が走ってくるのが見えた。
「○○さん!勝手に居なくなったらダメでしょ」
と看護師に抱えられ連れて行かれた。
あとで知ったことだが、
女の子は交通事故に遭い救急病棟に運ばれたんだが、
一瞬目を離した隙に起き上がり居なくなったらしい。
友人は
「本当に怖いことがあったら声さえでない」
と、その後出勤した私に語った。
あとこれはその友人には言ってない話なのですが…
その二時間位後だったと思う。
「○○ちゃん○○ちゃんお願い目を覚まして」
と泣き叫ぶ母親らしき人と、
霊安室に運ばれて行くご遺体を目撃しました。
友人は女の子と話した最後の人だったんだなぁと…