怖い話登録数17326話
目にやさしいダークモード
434
9
0
長編5分
あとで読む
Amazon特大セール開催中!会場はこちら
買い忘れているものありませんか?まとめて揃えるなら今が最後のチャンス!今回だけの特別ポイントアップキャンペーンもあります。
詳細はこちら
コピー
「父が船で遭難」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
投稿する
私が小学校五年の時だったと思います。 五月に入り春がかったころですが、 この時期父は鯛を釣りに出かけます。 朝五時頃出かけて、 帰ってくる時間はまちまちです。 (夕方四時頃もあれば夜10~11時頃もある) 父が出かける時、 たいがい私は寝ているのですが、 たまに起きてしまうこともあり、 一緒にコーヒーを飲んだりもしました。 だから、だいたい父がどんな感じで 出かけていくのかを知っていました。 顔を洗って、歯を磨き、髭を剃り、コーヒーを飲んで、 握り飯を5~6つと、氷、水、酒をもって一人で出かけて行きます。 その日もいつもと同じように出かけたみたいでした。 (私は寝ていた) そしていつもの様に、 特に待つこともなく母や弟と時間を過ごしていたのです。 その日父は、 11時をまわっても帰ってきませんでした。 母は、 「たまにこんなこともあるけん。 もしかしたらもう帰ってきて、 どっかいっちょるかもしれん」 と言っていましたが、やはり心配なので、 叔父に電話してから、眠そうな弟をおいて、 叔父の車で船着き場まで見に行くことにしました。 船着き場に父の船はなく、 父の車がきっと朝と同じようにおいてありました。 叔父と母が 「事故かわからん」 と話していたのを、 ドキドキしながら泣きそうに聞いていました。 とりあえず今日は遅いので、 明日にでも海上保安庁に行ってみよう、 ということになりました。 父と違い、どちらかというと引っ込み思案な母は、 一人で海上保安庁にいけず、 次の日どうしても外せない用事があった叔父を待ち、 正午くらいに一緒に行こうという段取りになったようでした。 私は父が心配で一刻も早く父を探して欲しかったので、 「私が行く!今から行く!」 と駄々をこねたのですが、 その日は御されてしましました。 もちろんその次の日、 私は学校を休みました。 イライラしながら叔父を待っていたとき、 家のドアが開き、父が帰ってきました。 開口一番、 「水とラーメンとメシ!」 はっきり言って間抜けですが、 私はボロボロワァワァ泣きながら父に飛びつきました。 その時は気が付かなかったのですが… 気が付いたのは、母が黙ってラーメンを作り、 それを父に差し出した時でした。 ひとまず泣くのを止めて、 まじまじと父の顔をみたのです。 「???」 父の髭がやけに伸びているのです。 熊程ではありませんが、 1日や2日剃らなかった様な感じではありません。 顔も妙に汚れている様に思えました。 「お父ちゃん。髭が伸びちょる」 私は旨そうにラーメンをすする父にそう言いました。 「うん。一週間は剃ってないけん」 ラーメンを食べ終わり、 一息ついたふうの父。 ここから父の話が始まりました。 あの日(父の話では一週間近く前)ふつうに海に出ると、 まぁいつものように少し霧がかかっていたと。 昼過ぎになり、霧も晴れ、魚もまぁ釣れているので、 もう少ししてから帰ろうと思っていたそうです。 しばらくして時計を見ると3~4時。 そろそろ帰ろうと思っていた時、 急に霧が濃くなってきたそうです。 その霧は、前後左右何も見えない程に濃くなってきました。 私は船の機械に弱いので、よくは解らないのですが、 そんな霧でも計器や船の信号などがあるので、 そう遠い場所でなけれは帰港するのにさほど差し支えはないそうです。 父は、 「今日は濃霧注意報もなかったのに、 帰る時間をあやまったかな?」 程度にしか考えていなかったそうです。 そして帰ろうとしたとき、 計器いっさいがイカれていたと。 父はあわててエンジンの様子を調べました。 エンジンだけが何故か生きていたそうです。 父は考えました。 もう少し霧が晴れるのを待ってみるか。 しかし、1時間たっても2時間たっても、 霧が晴れる様子はありません。 救難信号を送るにも、 計器いっさいがウンともスンともいわない。 無線すら入らない。 父はここで腹を決めました。 無駄に動けば遭難する。 霧が晴れるのを待つ。 晴れた時にほかの船を探し近づく。 長丁場になるかもしれん。 油は無駄にできん。 そしてその日は、 船上で夜を過ごしたそうです。 次の朝、目が覚めても、 船は霧に包まれたままでした。 霧の間は魚を釣る事に専念したそうです。 (もちろん、計器が復活するかときどき確かめますが、ダメです) そして正午を過ぎた頃、 かなり濃かった霧が少し薄れ、 その先に一つの船影がみえたそうです。 とりあえず父は、 エンジンを船が動ける状態にしたあと、 一応大声で叫びましたが届くはずもなく、 もう少しその船影に近寄ろうとしました。 やや近づいた船影を見て、 父はおや?とおもいました。 船のカタチが普通でない事が、 遠くからでも見てとれます。 父によるとその船は、『宝船』だったそうです。 少し霞む霧と霧の間にみえたものは、 何やら前時代的な、昔話に出てくるような帆船で、 形容するならば『宝船』だと。 その『宝船』は父が船の速度を上げても、 一定の距離を保つようにつかず離れずで、 はっきりとその姿を見ることは出来なかったそうです。 その状態で30分程度。 そして『宝船』は、 再び濃くなった霧の中へと消えたそうです。 そして又次の日も、同じ様な時間にその船が現れ、 それに付いていき、また霧が濃くなり…と。 父が釣れた魚をさばいて食べ、 持ち込んだ水と酒を大切に飲み、 そして昼頃現れる『宝船』に先導され… というのを一週間近く続けた、 ある昼前頃でした。 いつものように霧が晴れていきました。 しかし、いつもと違ったのは、 霧の間に見えたのが、 陸の影だったことでした。 その後霧は嘘のように晴れ、 目の前に懐かしい港が見えたそうです。 と同時に、計器いっさいも復活。 父はエンジンを唸らせ、 無事船着き場に帰ってくることができました。 私は父の話を聞いた後、 又オイオイ泣きました。 まだ小学生だったので、疑問や不思議は後回しに、 「お父ちゃんが帰ってこれてよかった!」 と素直に思いました。 今思うとホントに怖いです。 不思議です。 その『宝船』は何だったのでしょう。 その霧は何だったのでしょう。 (最初に父が語るように、父が出かけた日、帰って来た日に、 そんな濃霧注意報はなかったし、 近海には発生していなかったもよう) 父は、どこに行っていたのでしょう。 「お父さんには恵比寿さんがついちょる!」←弁天さんじゃないか、とつっこんだ。 と豪語して、 それからも元気に海に出ている父を、 私は尊敬しています。 ただ、それ以来父は、 船に醤油をつむのを忘れません。 ・テレビでは流せない芸能界の怖い話【裏事情編】 (TO文庫)
この話は怖かったですか?
怖かった9
ツイートする
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
朗読つきの怖い話ランダム
安っぽい人形
めたんの怖い話紹介ch
古いテレビ
【朗読Vtuber】読坂マヨイ / Yomisaka Mayoi Channel
本家
逢魔ゆみにむ
地下室
タクシーの先客
薄く広く多趣味な社会人
田舎町の駄菓子屋
Amazon無料でスグに読める本
とんでもスキルで異世界放浪メシ 1 (ガルドコミックス)
とんでもスキルで異世界放浪メシ スイの大冒険 1 (ガルドコミックス)
1巻: 私がくも膜下出血になった日 くも膜下出血のラブレター
股間が犬に破壊された話 やしろあずきマンガ日記集
(4)三角コーンが家に無限に届くようになった人の話:その4 やしろあずきマンガ日記集
(1)三角コーンが家に無限に届くようになった人の話:その1 やしろあずきマンガ日記集
【1】だんだん、借金取りの姉御がボクの世話を焼いてくれる
(7)やしろと家族の愉快な話:その7 やしろあずきマンガ日記集
オカルトまとめ速報
まとめサイトのまとめ速報
前の話:【ほん怖】電気クラゲ?
次の話:【ほん怖】赤道付近の日付変更線
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
怖い話 No.2358
【洒落怖】二人一組
682
2
中編3分
怖い話 No.7309
【洒落怖】池の顔
321
長編6分
怖い話 No.11703
【じわ怖】初対面の女性と話した時
314
5
短編1分
怖い話 No.10199
【洒落怖】空き巣に入られた
619
怖い話 No.2009
【洒落怖】少し開いた戸
489
短編2分
怖い話 No.16332
【意味怖】隣の席
328
怖い話 No.16072
【意味怖】血を吸っていた蚊を潰すと笑ってた
787
6
1
怖い話 No.5332
【じわ怖】無色透明なビール
543
4
怖い話 No.18565
【じわ怖】睡眠撮影?
191
怖い話 No.5219
【じわ怖】人の顔を描いている
390
怖い話 No.11113
【ほん怖】サバイバルキャンプ
8
怖い話 No.19356
【じわ怖】山奥にある鉄橋
748
怖い話 No.13062
【じわ怖】標高の高い山
213
中編4分
怖い話 No.16541
【意味怖】よりよい世界
586
怖い話 No.6240
【意味怖】胃潰瘍で入院
889
15
怖い話 No.9788
【洒落怖】アンティークの鏡台
799
怖い話 No.8094
【洒落怖】謎の看護婦
598
3
怖い話 No.17659
【洒落怖】お風呂の換気扇
289
7
怖い話 No.2336
【洒落怖】左目
274
怖い話 No.12988
【じわ怖】間伐
305
新着ほん怖
でっかいカエル
古びたフランス人形
信号待ち
家への電話
ヘアピンが落ちてる
友達の家に電話
笑い声
缶けり
義理の姉
サンタとトナカイ
極限状態の意識
白黒おじいさん
新着コメント
漁師さんの迷信
こういう者
以前担当した葬家
誰でもない誰か
信じていた
全寮制の看護学校
入れて欲しがる女
病死した夫
実家へ帰省