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水子供養のお寺
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1989
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長編7分
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今から17年位前の出来事です。兵庫県の加西市に、一乗寺と言う水子供養のお寺があります。そのお寺は山の上にあって、ふもとから階段を登る、地元では有名な心霊スポットの場所です。高校3年の就職組で勉強もすることもなく、卒業を待つだけの時間に余裕があり、仲の良い友達と毎晩の様に遊びほけていた。 ある時、俺(T)が車の免許を取っていて、「今日はスリリングな夜を味わいたい!肝試しに行こう!」と友達3人を誘い、一乗寺に行く事になりました。その時、僕はバイトをしていて、バイトが終わってから晩御飯を食べてすぐさま遊びに行ったので、時間は23時位だった思います。助手席はH君、後部座席の2人はM君とS君です。道中迷い、深夜0時30分には一乗寺のふもとに着いたと思います。ふもとの広場に車を止め、やっぱり怖いので足がすくんでいた時、1台の車と2台の単車(ヤンキーが乗る様な)があるのに気づきました。H「先客が居るで」S「女の子も居るで、山の頂上付近でキャーキャー聞こえるわ」M「ヤンキーでも怖がるねんな!?男もキャーキャー言ってるで」俺「どうする?俺達だけやったら怖いから一緒に後を付いて、怖さ紛らわすか?」H「そうしよう」俺「急ごう!」早足になりました。一乗寺は夜間侵入者を防ぐ為、いたる所にサーチライトをしかけてありました。懐中電灯も持たず来た俺たちには都合が良かった。階段の中腹には3つ4つ小さなお寺がありましたが目もくれず、ヤンキー達に合流したかったので、早足で階段を登っていました。頂上ではまだヤンキー達の声が、「見てん、地蔵ぎょうさん並んでて気持ち悪いわ」俺達が頂上付近に辿り着いた時は、ヤンキー達は堪能したのか、「そろそろ降りよう」と、山を下る準備をしていました。Hがヤンキー達に「怖い箇所ありましたか?」。ヤンキーの女子が、「もうチョット上の方、地蔵1体、頭無いのがあるで。あと、コケぎょうさん生えてるから、コケルで。気つけや!」俺達は「ありがとうございます」って返して、見送っていました。ヤンキー達の姿が見えなくなった時、S「25才位の、おっさん、おばはんやん」M「え~歳してヤン車で暴走すなよ!」って、けなして笑った記憶があります。H「どれどれ?おばはんの言ってた、お地蔵さんどれや!?」って探していたのですが見当たらず。確かにお地蔵さんはたくさんあるのですが・・・もうその頃には、先客のヤンキーにも触れ合えたし、怖さや緊張感が無かった。結構な時間、頂上付近で頭の無いお地蔵さん探したのですが見当たらず、降りようと考えていた時・・・下の方から「ブオン、ブオン、ブオン、ブオン・・・」と、ヤンキー達がふもとに着いて、単車のエンジンをふかしている音が聞こえた。俺「しらけた、スリリングな気持ちにならん。もう降りよう」H「そやな、もう怖く無いし。早足で階段登って足だるいから、ゆっくり降りよ」と、山を降りる事にした。登る時に見過ごした3,4個の小さなお寺も見ながら降りて行ったのですが、相変わらずヤンキーの単車が「ブオン、ブオン、ブオン、ブオン・・・」S「祟られるぞ!罰あたりが!」今考えると、充分俺達も罰当たりな事してるし、スリリングを味わいたいが為に、水子供養の寺を夜中に散策してるし。もうすぐふもとって気がゆるんだ時、女の声で「キャーーーー」って、下のふもとから聞こえた。男の声で「うわー」「やばい、逃げろ」って声もしてきた。俺達内心、近所の苦情で警察が来たなって思っていました。M「だいぶん長い間バイクでふかしてたから、警察もそら来るわ!」S「ほら罰当たったわ」俺達がふもとに着いた時、単車が一台エンジンが掛かったまま倒れていたのが目に付いた。H「逃げるのに相当必死やったみたいやな!?単車捨てて逃げたみたいやな」S「罰当たったんや」M「せっかくやから、ちょっと単車乗る?」俺「そやな。警察ちょっとの間、来ないやろうから乗るか」って、俺が単車を触ろうと単車に近づいた時、SがMにゴソゴソと耳打ちしてるのにも目に入った。すぐしてMの顔がコワバッテきた。怯えている感じだった。俺はお構いないに単車に触ろうとした瞬間、Hが「T!帰るぞ!!」と、大きな声で怒鳴った。Mが「ちょっと、やばいって!」と怯えながら、震える足でゆっくりゆっくり俺の車に戻ろうとしていた。Sが「T!車の鍵出してすぐ車のエンジン掛ける様にしとけ。車戻るぞ!!」俺はわけが分からず、でも友達の顔がこわばって、尋常で無い事は察したので、急いで車の鍵を開け飛び乗った。S「早くエンジン掛けろ」M「早く掛けろって」皆から急かされているんだけど、俺も車の免許取立てで、夜中で車内真っ暗で、鍵が鍵穴になかなか入らない。モタモタ・・・皆が気が狂いだして、「早く!!」「早く!!車出してくれ!!」それでもモタモタ・・・そんな中、Mが「やばい!コッチ来た!!」。Sも後ろを振り返り、「T!すぐそこ居るネン!!早く車出せ!!」。尋常では無いほど皆が焦って、気が動転していた。そんな中やっと鍵穴に鍵が入り、エンジンを掛け、急発進させる事が出来た。M「やばかったって!T!単車がこけていたすぐ横の電話ボックスに、人が居ったん気付かんかった?」H「人では無い」Sは後ろを気にして、ず~っと後ろを見ている。俺「全然見えへんかったで!どんな人?」H「透けている女の人」M「車乗った瞬間、追わえて来たん、かなり焦ってわ」Sはまだ気が動転してて黙り込んでいる。俺「見えへんって、逆に怖いヤン」H「単車に触ろうとしたから、Tが一番近くにまでいたんやで!」俺「怖すぎるやん。電話ボックスもチャンと見たけど、そんな人居らんかったし」Sの気も落ち着いたのか、「多分あのヤンキーの人も、あの女の人見て逃げたんやで・・・」おしまい。どうでした?俺的にあんまり怖くない本当の出来事でしたけど。ヤンキーの人も見ていたのなら、何故俺だけ見てないのでしょうか?不思議でなりません。それ以来友達3人は、この話をしたがりません。見えてるからね!!??俺も友達3人もイッタッテ健康です。でわ!
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