20XX年
世界の科学技術は遥かに進歩していた。
癌はもはや不治の病ではなくなり、エイズの特効薬も開発された。
映画のように、恐竜を復活させたり、時間旅行も可能になった。
そんな時代、科学者達の新たな関心は、超現象、つまり心霊現象の解明だった。
この時代では、幽霊の発生はもはや火山の噴火や地震と同じ類のものとして扱われ、人々はみな霊に悩んでいた。
故に、霊に関する道具の需要が増えていった。
心霊写真を解明するプリンター、霊の居場所が分かるGPS、霊道を封鎖する結界…
そして、科学者と霊能者の共同開発により、また新たな機械が発明された。
その機械が放つ音波は、一つの体に一つの魂しか存在できないようにするのだ。
つまり、霊による取り憑きを防ぐ事ができる。
ついに人類は霊をも打ちのめす事ができたのだ。
その機械は、世界各国の首都の地中奥深くに設置され、その音波は世界中に行き渡った。
数10年後、人間がいなくなった地球では、今日も音波が鳴り響いている…