【洒落怖】おかんの言いつけ

  • 大体どこの学校にも一つや二つくらい怖い話があるやろ。

    俺の学校にもあった。実際戦時中の火葬場と墓場だったらしくて、工事の時には骨がゴロゴロ出てきたこともあったらしい。

    大体は「へー」っていう感じで終わる話ばっかりなんやけど、一つだけマジで怖い話しがあった。実際に俺もほんの少し体験したから、その話を書こうと思う。

    思い出したまま書いているので、変なところがあるかもしれんが勘弁な。なんせ10年以上前の話なんで。

    俺自身は霊感とか無いと思うけど、母方の家系にはソッチ系の人がいて母親も結構強い力を持ってるみたいで、なんか見えたりするらしい。母親は当時としては珍しく仕事をガンガンやる人で、入学式はおろか授業参観も仕事優先で来ないという徹底ぶりやった。

    通ってた中学は不良がいっぱいおって、短ランとかボンタン履いた奴とかゴロゴロしとったから、真面目な母親は嫌がって、あんまり行きたくなさそうやったけど、さすがに3者面談は親が行かんと始まらんから、中2の夏の時に初めて俺の中学に来た。そしたら校門の前に来るなり、「あかん、この学校はおるな」とか言って嫌そうな顔した。

    俺は物心付いた時から母親がなんか見えとるというのに慣れてたから、またかよとか言ったような気がする。そしたら「ちゃうねん、これは普通とちゃう」みたいなこといって、いつもより渋るから何がおるんか聞いてみたら「こわいで、悪さする奴や。

    Y(俺の名前)は、わからんからええけど、ほんま厄介な奴がおる」とか言ってる間に時間が近づいてきたから急かしたけど、普段俺等が使ってる昇降口から入るのは嫌やから正面玄関から入ると言ってた。しゃあないから、俺が下駄箱で上靴取って玄関まで迎えに行ったら、じっと俺の後ろの方見とるからなんやって聞いたら「そっちの方におる」と言ってた。

    無事に3者面談も終わって帰る途中で、もう一度何がおったのか聞いてみた。「あそこで自殺した人がおるわ。

    女の子やね。昇降口の奥に何かあるやろ?」と聞かれてすぐに思い当たるものがあった。

    昇降口から向かってすぐ左の廊下の突き当たりに階段があっていつも上るんやけど、階段のすぐ前というか上り口の所に机を上下に積み重ねたバリケードみたいなんで入り口を塞いで、窓に目張りしてあるトイレらしき部屋がある。入学したときから疑問に思っていたけど、先生に聞いても「さあ?」とかとぼけられるから、みんなでお化けが出るとか噂はしてた。

    でも実際に確かめた奴はおらんし、普通に気味が悪いんで、いたずらしようとかいう奴もたぶんおらんかったと思う。「ああいうのは悪いことするから、絶対に関わったらあかんで」とか釘を刺されたけど「ふーん」ってな感じでまた言っとるわみたいな感じやった。

    その時は。7月も終わりに差し掛かって、1学期終了で掃除をすることになり俺のいた班がちょうどそこの掃除をすることになった。

    とりあえず階段を無難に掃いて終わりやったけど、夏やし肝試し感覚でトイレのバリケードをちょっとどかして、中を覗いてみようやないかという流れになった。俺はあんまり気乗りがせんかったけど、怖がりやと思われるのも癇に障るし、昼間やったからまあ大丈夫やろうと思って参加することにした。

    と言ってもバリケードをどかしても、ドアには鍵がかかってるし、窓には内側から目張りがしてあるから中の様子は分からん。男子3人ほどでドアを引っ張ってたけど開かず、そのうちに先生が来て叱られてしもた。

    とりあえずその場はそれでしまいになったけど、内心ホッとした。気のせいとは思うが誰もおらんはずのトイレ中から「ザーッ」っと水が流れ続けているような音がしていた気がした。

    それから暫らくたって、夏休みに入り、俺は陸上部の練習で毎日学校に来るけどトイレの話はすっかり忘れていた。練習は早朝から始まって昼には終わって、後は自主練なので、遅くまで練習することは無かった。

    夏休みも8月に入り盆前ぐらいに、委員会活動で学校へ部活以外で行く用事ができ久々にジャージやなしに制服で登校した。いつもは部室に直行なんで、昇降口で上履きを履くことなんかないけど、その日は職員室にも行かないといけないし、教室で作業するため上履きに履き替えていつもどおり階段を上っていった。

    必然的に例のトイレの前を通るわけだが、朝から何かジメッとしていて嫌な雰囲気やった。トイレは建物の中では北東の角にあって窓も階段の下についてる小さなのしかないから年中湿気てる。

    まあ嫌なことがあったから余計にそう感じるのかもしれないけど、とにかくその日はそっちを向くのも嫌で、急いで階段を上がって教室に行き荷物を置いてから、職員室へ向かった。委員会の名前は美化とか環境とかそんな感じだったけど、夏休みの間に伸びそうな草抜いたりとか花植えたりとかめんどくさい仕事があるのだが、部活の顧問が指導やってるのと、仲のいい女子がいるのでまあやるかってな感じで作業してた。

    昼に休憩を取って、3時ぐらいには大体作業も終了し、ささやかなご褒美として職員室でジュースを飲むことになった。そんで、話の流れで怖い話をすることになった。

    俺の母親の霊感みたいな話は、多少有名でそこにいた連中も俺に話せみたいな感じだったので、気乗りはしないが話してるうちに、例のトイレの話になった。「で女の子が自殺したって」とか言って多少脚色して話した覚えがあるが、女の子が怖がって面白かった。

    けどどうもウラを取ってみないことには気が済まんみたいになって、先生にみんなで頼んだけど、「配管が壊れてて、トイレの数も足りてるから使わん」みたいな理由を言ってた気がする。確かに中学は荒れてたから、使わん便所とか空けてたら不良がタバコかシンナー吸う場所として使われるから鍵を閉めるのは分かる。

    でも目張りは何でしてあるんかがわからん。それまで気に留めてなかったが、外側から見える窓にもしてあるのはおかしい。

    先生に聞いても教えてくれんから、学校に詳しい誰か他の大人ということで、ピンときたのは校務員のBさん。Bさんはオモロイおっさんで、セクハラ発言があるので女子には不人気だが、俺は個人的に好きだった。

    でBさんに聞いてみたら、少し考えた後で「先生に言うなや」と言って教えてくれた。俺が中学の時から遡ることさらに10数年、確かに女生徒が自殺していた。

    Bさんも当時は校務員ではなかったので、詳しくは知らないが、トイレで包丁かナイフを使い手首や喉を傷つけ失血死したらしい。問題となったが新聞で取り上げられることもなかったそうだ。

    自殺した理由についてもこれといって見当たらないらしく、当時は色んな憶測があったが、結局分からずじまいだった。事件が起こった当時、俺等家族はまだ他県にいたからそんな事件を知る由もない。

    つか母親が言ってたことは本当だったと思いゾッとした。Bさんは「でも、それが原因や無いんやで。

    ほんまは出るからや」と笑いながら言った。自殺の事件後も普通にトイレは使われていたらしい。

    しかし、利用する生徒が鏡に血だらけの女の子が写りこんだり、血糊のべったりついた手形がトイレの壁に現れたりと言って騒ぎになった。先生も子供の単なる勘違いか思い込みだと思っていたが、何人もの先生が同じ体験をしたらしい。

    笑い事で済まされなくなって、お払いなどを頼んだが効果も無く、結局封鎖することになったらしい。話終えて「ワシは見たことないけどな」とBさんは笑った。

    Bさんに礼を言って帰る途中で、うちの中学の不良の何人かと私服で高校生ぐらいの男女5,6人ぐらいが、俺と入れ違いで学校に向かってきてた。そのうちの一人は小学校から同じで結構仲の良かったIと言う不良がいたので声をかけてみると、「学校で肝試しをするんよ」とか言ってる。

    時間は夏の夜6時まわった位で、「まだ明るいけど、気をつけろよ。先生もおるし」と言う風なことを言って別れた。

    I等が学校に入らず校門付近でダベッていたのを見て、とりあえずその場は帰った。家に帰ってもまだ母親が帰っておらず、妹が友達とテレビを見てたようなそこに電話がかかってきて仕事先の母親からだった。

    「今日はもう、誰かに誘われてもどっこも行ったらあかんで、N(妹の名)と私が家に帰るまでおりよ」という変な電話だった。これは今でも良く覚えとる。

    その後、しばらく居間で妹とゲームしてたらIがやってきて、「今から肝試しいかね?」と誘われたが、母親の言うことを守らんとマズイと思い断った。どうも嫌な予感がした。

    Iはとりあえず学校に行ってから、他の廃墟とかも回る、先輩(たぶんヤンキーの)が車で来てるから色々行ける言ってはしゃいでいたが、さっきから嫌な予感がしたから暗に止めておいたほうがいいんじゃないかと言ったが、行く気満々で止めても聞かないから好きにさせることにした。次の日、部活で学校に来ると、昨晩のI達のことが気になってとりあえず昇降口の方に向かった。

    すると例のトイレの外側で何人か他の部活の子が集まってるのを見て、近くに行ってみるとトイレの外側の窓ガラスが割られていた。先生が来て片付けるから、触らんようにと言われた。

    ふと見ると目張りが剥がれて中が覗けるなにかふらっとした感じになって、窓の外枠に掴まって、懸垂して中を覗きこんだ。中は特に何も変わった所はなかった。

    タイルはピンクに近い色で男子トイレとは色が違うなと思った。もっと良く見ようとよじ上った時、「・・・」いきなり耳元でボソッと呟かれた。

    何を言ったかは聞き取れなかったが低いかすれたような声だった。びっくりして手を滑らせて、地面に落ちてしまい少し腰をうった。

    窓を見上げても誰もおらん。周りの子等は不思議そうに俺を見とった。

    その日の昼に、Iと昨日の肝試しに参加したと思われる人等が乗ってた車が事故って運転手死亡、助手席にいた人が重症、Iも腕を骨折した。後で分かったとだが、やっぱり窓を割ったのはI達やった・・で、その日の夕方母親が帰ってくるなり、「あほ。

    関わるなっていうたやろ。軽く因縁つけられとるやん」怒られたorzつうかおかんの方が怖いと思った。

    むちゃくちゃになっとるかもしれんけど実話です。

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