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【洒落怖】ビルの建て替え工事

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  • 30年前の話なので、
    もう特定されることもなくなっただろうと書かせて貰う。

    当時、俺は某特殊法人に就職していた。

    俺が就職した時、
    すぐに本部ビルの建て替えが始まったんだが…

    新本部ビル建設工事中に、
    遺構やら遺跡が出てきてしまった。

    本部のあった土地は都内でも歴史が古く、
    そういうものが出てきてもおかしくはない。

    問題は、
    考古学調査のため工事中断となってしまうことだった。

    で…上層部判断でやっちゃったんだ、
    証拠隠滅。


    遺構やら遺跡やらを全部埋め立てて、
    教育委員会には一切知らせることなく工事続行…

    総務部の俺は、
    嫌なことを知っちゃったなと思いながらも
    口を閉じているしかなかった。

    新本部ビル落成、
    引っ越しが済んでから、
    1ヶ月も経たないうちに変な問題が次々と発生した。

    ビルは夜11時で完全ロックアウトされ、
    入退室は出来なくなるのだが、
    地下室への階段ドアが週に何度か警報を鳴らして、
    その度に警備会社から連絡が来る。

    地下一階は女子更衣室、
    地下二階は資料倉庫だったのだが、
    女子更衣室の蛍光灯だけが異常に早く切れたり、
    エアコンの調節が故障したり、
    スピーカーが異音を拾う。

    資料倉庫の湿度が異常に高く、
    床が水浸しになる。

    地下二階の水浸しの件については、
    新築ビルだからコンクリの水分が抜けてないんだろうという話だったが、
    とにかく水の量が半端じゃなくって、
    業務用除湿器を設置しても、
    資料は水分で黴びていった。

    女子更衣室の電子機器の故障についても、
    水分のせいだろうってことだったが、
    除湿器を設置しても故障頻発は収まらなかった。

    そして、
    新本部ビルに引っ越して数ヶ月後から、
    幽霊話が頻発するようになった。

    まず、女子更衣室で、
    ロッカーに取り付けられた鏡越しに
    和服の女を見る職員が頻発。

    地下資料倉庫は、昼夜問わず

    「女の呻き声が聞えた」

    と言って腰を抜かす職員が頻発。

    フロア最後の職員が退室時には、
    エレベータもロックされるため階段を使用するのだが、
    この階段を降りている最中に後ろから足音がする。

    他のフロアの職員かな、
    とミラー加工された窓ガラスを見ると、
    自分のすぐ後ろに和服姿の女が映し出される…

    驚いて階段を駆け下りようとして、
    足を捻ったり、
    転んで怪我をする職員が毎週一人は出る。

    そして、ついには俺も見てしまった。

    総務部には、
    22:30に各フロアを見回ってから
    22:45に最終退出する遅番があって、
    俺がその遅番をやって、
    ビルを出ようとする瞬間に、
    エレベーターホールに女の声がした。

    ちょっと待って、
    みたいなニュアンスの「あー」って声。

    え?女子更衣室も施錠したし、
    誰か残ってたのかな?と、
    再度エレベーターホールに入って

    「誰かいますか?返事してください、閉めますよ」

    と声をかけたら、
    石貼りの壁から青みがかった灰色の細い腕がプラーンと垂れ下がって、
    おいで、おいで…って感じに手招きしていた…

    俺は生まれて初めて腰を抜かして、
    四つん這いになりながらビルの外に出たよ…

    次の日の朝、
    課長にこのことを話したら、そのまま部長へ、
    そしてついに秘書室長経由で役員や理事長にまで話が通った。

    今までに何件か幽霊を見たって話はあったが、
    総務部の人間にはなかった。

    俺が初めての遭遇者。

    お祓いをやることになったんだが…

    最初は地鎮祭にも来て貰った地元の神社の神主に頼んだ。

    が、神主に

    「そういうお祓いはしない」

    って頑として断られた。

    次に近所のお寺に頼んだ。

    一度は引き受けてくれたんだが、
    翌日には断りの電話があった。

    総務部案件だったんで、
    俺が付近十数件の神社仏閣にお願いをしたんだが、
    みんな後日になって断ってくる。

    気持ち悪いのが、
    みんな断る理由を聞いても教えてくれないことだった。

    結局、
    役員の地元の東北の『神様』と呼ばれる拝み屋に依頼をした。

    粛々と祭礼?が終わって言われたのは、

    「埋めてはいけないものの上に、このビルが建っている」

    「やれることは全てやったが、これで収まったとは思えない」

    「屋上に社を建てて、鎮魂するしかない」

    「それでも、
    完全には収めることは出来ないだろうが、
    今よりはマシになる」

    遺跡や遺構を埋め立てたのを知っていたのは、
    所内でも総務部の中でも数人。

    あとは工事関係者だけ。

    早速、社を建てたりなんだりして、
    騒ぎは収まった…わけではないんだな、これが。

    新本部ビル落成の一年後に事業規模は一割減、
    二年後に三割減…三年後には三分の一まで縮小。

    ○○省や○○庁からの天下り役員も来てくれなくなり、
    リストラが決行されて、
    俺はこれに乗っかって早期退職したんだが…

    その後、残った総務部の同僚に聞くと、

    「あいつだけはない」

    と言われていた超嫌われ者部長が
    異例の大出世で理事長就任。

    就任後、
    数ヶ月で理事長の娘が精神病で入院、
    奥方も精神病で入院。

    生え抜きの役員たちの家族(ほとんどが、奥さんか娘)にも
    精神病患者が続出。

    これらの情報は、
    健康保険組合から

    「精神病患者が続出してるが、
    この割合はおかしすぎる。
    調査しろ」

    と言われて判明した。

    まだこの特殊法人は残っているし、
    建物もある。

    同僚はみんな辞めたから、
    もう中はどうなっているか
    俺にはわからないけどね。

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