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GAME
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中編4分
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このアパートで1人暮らしを始めてもう一年か… 長くもったものだ… というのもこのアパートで昔殺人事件が起きたらしい。 しかも、死体の首から上が切断され、まだ見つかってないという。 そして、事件以来アパート内で相ついで怪奇現象が起こるようになったそうだ。 まぁ、そのお陰で安く住めてるんだが、当初は多少の怪奇現象は覚悟していたが今だに目立った事は起きていない。 ソファーに腰掛け天井の四隅に貼られているお札を眺めながらそんな事を考えていた。 「はぁー。休日の昼過ぎだってのに、何もする事ないなー」 ふと、目線を下ろしミニテーブルに乗ってる買い物袋に目を向ける。 「あ、そういや、昨日仕事の帰り道にゲームソフト買ってきたんだった」 それを思い出しソフトを買い物袋から出し開封していく。 パッケージには【呪い】と禍々しい文字でタイトルが書かれていた。 昨日買ったのはいわゆる、ホラーゲームに分類される。 売り場の隅の方に置いてあり独特の存在感を出していた。 そこに惹かれて購入に至った。 部屋にゲームの起動音が響く。 タイトル画面に変わり【はじめから】を選択する。 そして、俺は物語を進めていく。 どれくらい時間が経ったのだろう…… 気がつけば窓の外は真っ暗だ……。 最初は自分視点で動くシステムに酔ったが慣れれば面白いものだ。 さて、そろそろ終わるかな…… ヒラッ…… 「………?」 どうやら、上に貼られてたお札の一枚が取れてしまったようだ。 今まで特に変わった事も起きなかったし、張り直す必要もないか…… そう思った俺はお札を放置し、ゲーム機の電源を切ろうと立ち上がった。 その瞬間テレビ画面が切り替り、今までは暗い屋敷の中だった映像が突然どこかの夜道へと変わった。 辺りに街灯は無く月明かりだけが道を照らしていた。 「……なんかの演出か?」 俺はコントローラーを再び握り、適当に進んでいった。 暗くてよく見えないがなぜかこの道を知ってるような気がした。 五分程歩いてようやく気がついた…… 「え……?ここって、このアパートの近くじゃん…」 鳥肌が立っていくのが自分でもわかる…… 気味悪くなった俺はコントローラーを置き電源を切ろうとゲーム機の方まで進む。 ッザッザッザ…… すると、砂利道のような所を歩く音が部屋に響いた。 一瞬びびったがすぐにゲームの効果音だと気づきホっとした。 …………… 「っ!?」 しかし、すぐに自分の手にコントローラーが握られていない事に気がついた。 「うわぁぁぁぁぁぁ」 ゲームの中の【何か】は確実にこのアパートを目指し歩いている。 ッザッザッサ 「っくそ!!電源が切れない!!」 何度電源ボタンを押しても歩く音がやむ気配はない。 カツンカツンゴツン!カツン すると、足音は鉄階段を登る音へと変わる。 呼吸をするスピードが速くなっていく。 なぜなら、この音は毎日のように聞いている音だからだ…… 三段目だけなぜか乗ると鈍い音がする…… 間違いない、このアパートの鉄階段だ。 鉄階段を登りきる【何か】 そして、とうとうテレビ画面には俺の部屋番号が記された扉が映し出された。 「はぁはぁはぁ」 かすかに知らない男の呼吸する声が聞こえる。 すると画面下から、手が伸びてきて慌ただしくドアノブをまわす…… ザザー………… プツン。 すると、テレビには何事もなかったかのようにゲームのタイトル画面が表示されていた。 「はぁ~」 緊張の糸が途切れた俺は急に笑いが込み上げてくる…… 「なんだよ……結局演出オチか……」 制作側にまんまとやられた…… でも、なんでこのアパートが……? …………………ッボト 後ろの方から何かが落ちた音がした。 再び背筋が凍りつく。 ゆっくりと俺は後ろを向く。 ドクンドクン そこには、女性の首が転がっていた。 目があった瞬間微笑み言葉を発した。 【私と同じ苦しみ味わう?】 あぁ、そっか…… ずっと、【あそこ】にいたのか…… 薄れゆく意識の中最後に目に入ったのはテレビに映し出された文字だった……… 【GAME OVER】
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