ダークモード

【ほん怖】奇妙な軽トラック

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  • 大学の先輩と行ったドライブ旅行の帰り道。

    途中、地図を読み間違えたのか、
    近道しようとした俺たちの車はどこかの山道に迷い込んじゃった。

    時間は夜の8時くらいだったけど、山中なので行けども行けども暗い道が続き、
    運転してた先輩もナビしてた俺も(つまり一番の責任は俺のせいってことだが…)
    完全にどこ走ってるのか分からなくなってたとき、
    ふと前方を一台の軽トラックが走っていることに気が付いた。

    ずっと不案内な暗い山道つづきで不安だったから、ちょっとだけ安心して、
    もういっそその軽トラについて行こうって事になった。

    ところが、その軽トラについて行っても、なかなか山道を抜け出せない。
    それどころか、どんどん山の中に入っていくような気もする。
    それでもしばらくは軽トラの後をついて走っていたのだが、
    ある時ふと距離が開いたと思ったら、
    いつの間にか前方を走っているはずの軽トラの姿が見えなくなってしまった。

    細い山の中の一本道、よっぽどのことがなければ見失うことなどまずありえないはずなのだが、
    俺たちの車の前にはただただ暗い山道が続くばかり…

    不思議には思ったのだが、まずは山から抜け出すことが先決だと思い直し、
    その道をまたしばらく走り続けていた。

    ところがある時、俺たちの後方に何かがついてきていることに気が付いた。

    最初は何だかわからなかったのだが、よーく目を凝らしてみると、
    なんとそれが軽のトラックだったのである。

    勿論、それが先ほど前方を走っていた軽トラと同じ車かどうかはわからない。

    ただ、そいつはひとつ奇妙な行為をしていた。

    結局その行為のおかげで、後ろを走っていることにしばらく気が付かなかったわけだが。
    その軽トラは“ライトを消して”ついてきていたのだ。

    ライトを消した状態で、果たしてこんな曲がりくねった山道を走れるものだろうか・・・?

    そんな俺たちの疑問なんかお構いなしに、きっちりと俺たちの車についてくるその軽トラの姿が、
    だんだん不気味になってきた。

    やがて、

    「もしかしたら、“ついてきてる”んじゃなくて、“つけられてる”んじゃないか?」

    という考えに至って、何だか急に怖くなった俺たちは、
    なれない山道にもかかわらず、出来るだけスピード上げてチギってやろうとした。

    けれど、その軽トラは呆れるほど執拗に“付けて”きた。

    勿論ライトは消したまま・・・

    先輩も俺も完全にビビってて、「どうしよう…」とか言い合うものの、
    どうしようもなくて仕方なく車を走らせてたら、
    ある所から後ろの軽トラの姿が完全に確認できなくなった。

    今度は見えないんじゃなく、本当にいなくなっていたんだ。

    何だかキツネにつままれたような気持ちにはなったけど、
    何はともあれ諦めてくれたんだろうかと少しホッとしてたら…
    しばらく走った道の前方に、後ろを走っていたはずの軽トラの姿が俺たちの車のライトに映し出された。

    その瞬間、サーッと血の気が引いて、俺たちは言いようのない恐怖を感じ始めたんだけど、
    一方で「これは何とかしないとヤバい」とも考えていた。

    で、そこからしばらくは、また元のように前を行く軽トラを俺たちが付いていくハメになっちゃったわけだが、
    さらに走っていると、少しだけ道幅が広くなった細い山道特有の“追い越し箇所”が設けてある区間に差し掛かった。

    その瞬間、先輩はものすごい勢いでUターンを試み、
    壁だのガードレールだのに車体をこすりながらもそれに成功した。

    それからは一目散にもと来た道を、事故らなかったのが奇跡なぐらいの猛スピードで引き返して行ったら、
    やはりUターンして、今度はしっかりライトを点灯した軽トラが、案の定俺たちの車を追いかけてきた。

    逃げる途中にわかったのは、山道には細いが何本かの枝分かれした道があったってこと。

    どうやら、その道を利用して軽トラは俺たちの車の前に付けることが出来たんだろうが、
    俺たちは無我夢中で走ってたから、そんな枝道が目に入らなかったのだろう。

    どれくらい走ったか、本当にもと来た道なのかもお構いなしに走りつづけていたら、
    ようやくチラホラと民家が見え始め、やがて個人経営のガソリンスタンドの明かりが目に入った。

    ほとんどスピードを緩めることもなくそのガソリンスタンドに滑り込み、
    驚いて出てきた店員のおじさんの腕をつかんで、早口に事情を説明しながら、
    後を付けてきているであろう軽トラのいる道へ連れて行った。

    すると件の軽トラは、ガソリンスタンドの数メートル手前で止まって、やがてきびすを返すと元の山道へと戻っていったのだ。

    そのとき、軽トラのボディに書いてあった何かを目にすると、
    おじさんは「ああ、○○○会の連中か…」と、さも平然と納得したのだった。

    後で聞いたところによると…

    その一帯の山は、その“○○○会”(全国的に有名な某団体。○価○会ではない)の持ち物であり、
    その山の中に“○○○会”の一部の人々が集落のようなものを築いて、
    集団生活をしているのだという。

    ただ、そこから脱走しようとするものや、
    その団体にいる身内を連れ戻すため侵入しようとするもの、
    そして、彼らの集団生活の内部を探ろうとするマスコミの潜入取材などが頻発したため、
    見回りや、あるいは威嚇の意味で、その会の連中が時々巡回しているのだそうだ。

    「まあ普段はおとなしい連中なんだよ」
    とそのスタンドのおじさんは言うが、
    一方では、そんな彼らの執拗な追跡により、
    事故を起こす車も少なくないと聞く。
    俺たちも一歩間違えば事故ってたかもしれないと、
    そのときになって初めて自分たちの強引な運転に怖くなった。

    一頃はしょっちゅうTVや雑誌なんかに取り上げられてたその“○○○会”だが、
    最近ではめっきりと話題にされることが少なくなった。

    もしかしたら、あの軽トラの“見回り”が功を奏したのかもしれない…

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