怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
見たことの無い風景
お気に入り
1409
36
0
中編3分
Audibleが1ヶ月無料キャンペーン中!
Audibleならホラー小説やミステリー小説をプロ声優が朗読してくれます。Audibleのおかげで通勤や待ち合わせなど退屈な時間が楽しみになりました。詳細はこちら
コピー
「見たことの無い風景」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
子供の頃、幼稚園の時に体験した事 。 誰かに打ち明けたかった。 俺(今32才♂)が幼稚園の頃、埼玉県の吉川って所に住んでた。 今はどうだか知らないけれど、 当時は田んぼの真ん中に団地がちょっと固まってるぐらいで、 夜なんて街灯もほとんど無く真っ暗だった。 団地の敷地から一歩出ると、地平線が見えるぐらいだったのよ。 俺は子供の頃、良くラップ音を聞いたり、 仕事に出ていたはずのオヤジの声に呼ばれたと思ったら、 そのオヤジから電話がかかって来たりとか、 幽霊見たりだとか不思議な体験が色々あった。 今でも知らない町を散策(趣味w)してる時に、 ふと脚を止めると花束のまん前、なんて事が良くある。 あの頃に比べたら今は何も起きていないに等しいが。 んで、ある日夕暮れ。 いつもの公園で遊んだ帰り、いつものようにいつもの曲がり角を曲がった。 その角の先には俺の住んでいた棟があって、家までほんの少しのはずだった。 薄暮ってのは、(俺の経験上だけれども)真夜中よりも妖しいことやモノに出くわすから、 俺はせき立てられるように、安全で暖かい家を目指して一生懸命走ってた。 んで、角を曲がった瞬間、俺は立ち尽くした。 そこにあったのは見慣れた団地の棟ではなくて、 見たことの無い風景だったからだ。 そこにあった風景は、絵であれば詳細に書けるぐらい 網膜に焼き付いているんだけれど、 文章で上手く表現できるのかわからない。 突然目の前に開けた空間にはなんと言うか、 黄砂でかすんだような、明るい黄色に茶を混ぜたような色の空が広がり、 空間の3分の1ぐらいの所に地平線があって、 空との境目はまるでエアブラシをかけた様にぼやけていた。 地面は今思えば砂のような感触で、子供用の薄い靴の底がとても冷たかった。 右手側には、太い鉄色のパイプを複雑に絡み合わせた建造物があって、 左手側には、ガラスかそれに近い透明の棒で組まれた、 少しいびつで不規則に組み上げられた、 巨大なジャングルジムのようなビル、もしくはビルのようなもの。 冷たい風が強く吹いていたけれども、砂や埃は舞っていなかった。 寂しい光景だった。 砂と地平線と、明るいけれども茶色の空と、無機的な二つの建物しかなかった。 後ろは振り向けなかった。 怖かった。 同じ風景が続いていたら多分耐えられなかったと思う。 そのまま、一、二歩踏み出した。 もう家には帰れないと思った。 そうしたらコケた。 コケてヒザ小僧をガツンとぶつけたのは団地の階段だった。 夢中で駆け上がったよ。 (俺の家は5階だった) 家に飛び込むと、ベッドに飛び込んで布団を頭からひっかぶって泣いた。 怖かったんじゃなくて、無性に哀しかったら。 声を絞ってただひたすら泣いた。 その体験以降、俺の中で何かが欠け落ちた。 この直後、小学校に上がって、俺は千葉県の習志野市に引っ越すんだが、 小学校と中学校の記憶がほとんどない。 母親に言わせると、すぐ風邪を引くヤワな子供になってしまったらしく、 さらにはあまり笑わなくなったそうだ。 「あんた、あんなに可愛かったのにねぇ。どうしたのかしら」 とよく笑われるよ。 九九を覚えたり文字を覚えたりするのも極端に遅かったらしい。 ようやく記憶が確かになるのは高校以降で、 あの体験以前の幼かった俺と、その時から今の俺には、 埋めようの無い断層がある。 でも、それはしょうがない。 いまさら取り戻せる性質のものではないから、諦めるしかない。 ただ、あの風景。 寂しくて、哀しいあの風景が何であったのか。 そして、あの風景に落として来てしまった俺の一部が何であったのか。 今でもその疑問は頭から離れる事が無い。 何かとても大事なものだったように思うのだけれど・・・ 時折、深い喪失感がみぞおちを抉ることがある。 そのせいかしらんが、俺はまだ毒男w
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
この話は怖かったですか?
怖かった36
ツイートする
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
穏やか貴族の休暇のすすめ。@COMIC 第2巻 (コロナ・コミックス)
Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ 1 (ガルドコミックス)
転生したらスライムだった件4 (GCノベルズ)
転生したらスライムだった件5 (GCノベルズ)
穏やか貴族の休暇のすすめ。@COMIC 第1巻 (コロナ・コミックス)
今日も絵に描いた餅が美味い@COMIC 第3巻 (コロナ・コミックス)
前の話:【じわ怖】九十九神
次の話:【じわ怖】変なカップル
怖い話 No.5281
【じわ怖】ちっちゃい私
1241
41
怖い話 No.5069
【じわ怖】オカアサン
1438
32
短編2分
怖い話 No.4041
【じわ怖】3人のイジメっ子
1793
38
1
怖い話 No.5329
【じわ怖】ドロイド
1584
27
短編1分
怖い話 No.4498
【じわ怖】角の生えた猫
1617
-1
怖い話 No.15382
【じわ怖】お見合い相手
1077
怖い話 No.19164
【じわ怖】逢いにきた父
856
21
長編6分
怖い話 No.12998
【じわ怖】自殺者が後を絶たないと有名なトンネル
1200
怖い話 No.4543
【じわ怖】腰の曲がった婆さん
1551
怖い話 No.3966
【じわ怖】ボロボロの廃屋
719
20
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
牛の墓
不思議
まんじゅうのせい
調理中
中年男性との交流
終わらない夢
取り囲まれた家
サキちゃん