ダークモード

【じわ怖】古い喫茶店

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  • 五年ほど前京都で就職して、仕事をはじめて1,2年がたった。

    私は京都人ではなく、
    京都の地理にようやく慣れてきたところだった。

    京都人は住所で位置を特定しない。

    豊臣秀吉の町割りで作られた400年前の通りを使って場所を特定する。





    右京区は地図では左にあり、左京区は右にある。

    他府県の人間からみれば奇妙であるが、
    伝統が『自然』に住所にまで息づく不思議な町と感じる。

    町そのものは高層建築が景観上の問題から規制されているとはいえ、
    ビルなどは普通の建物で中小都市の息吹しか感じない。

    一般の建物に古都を感じさせるものはほとんどないという
    非常にアンバランスな、
    伝統と普通さが入り交じる不思議な『古都』だった。

    この町は土地が細分化されているために、
    一つ一つの建物は基本小さい。

    大きなファミリーレストランなどは、
    まったくといっていいほど中心部にはない。

    私は外の仕事を終えて食事を取る時は、
    基本『カフェ』『喫茶店』にすることにしていた。

    ファミレスがほとんどないのだ。

    他にあるのは小スペースでできる牛丼屋系統と、カフェ喫茶店だ。

    京都は驚くほどカフェが多い。

    名店も多いのだ。

    たとえばイノダコーヒーや、スマート珈琲店などは悪くはない。

    各店舗みんな軽食や珈琲には力を入れている。

    私は外回りにいった帰りには、
    近くにあるお気に入りの喫茶店で食事をする楽しみをもっていた。

    喫茶店には少々うるさい。

    趣味でもあったし、仕事の中のささやかな楽しみではあった。

    そしてその日は、
    烏丸通(だいたいの場所は京都人にはわかると思う)のある
    喫茶店にやってきた。

    それなりに古い喫茶店で、
    なかなかにおいしい昼食を食べさせてくれるお店だった。

    何度もきており店の人にも顔を覚えられていた。

    いつも通り扉を開け、店員に席に案内してもらう。

    いつもその曜日にシフトに入っている店員さんがその日はいなかった。

    結構可愛い女子大生のアルバイトさんで、何度か話はしたことがある。

    下心があるわけではないが、その日いないことを残念に思った。

    メニューを見ると、いつもと違うメニューが載っていた。

    『サーモンと水菜のクリームパスタ』だった。

    なかなかにおいしそうだった。

    それを頼むと、見たことのない店員さんが
    しばらくしてメニューを持ってきてくれた。

    悪くない味だった。

    とくに水菜のシャキシャキ感が悪くない。

    クリームに混ぜずに、
    水菜は上からふりかけるようにかけたのは正解だった。

    クリームに混ぜれば、
    あまり癖のない水菜は存在を消されてしまっただろう。

    満足して、珈琲を飲んだあと、レジでお金を払う。

    レジの若い男の店員はよく知ってる店員さんだった。

    軽く雑談して、

    「新メニューよかったよ」

    と話すと、なかなかに好評だとという返事。

    味はよかった。

    たしかに好評になってもおかしくないなと思いつつ店を出た。

    それから一週間後に再び店にいった。

    いつもの可愛い店員さんもいた。

    で、またあのメニューを頼もうと思ったら『ない』のだ。

    水菜のとサーモンのパスタがメニューに存在しないのだ。

    好評なのになくなるはずがないと不可思議に思いつつも、
    材料が届かなかったなどの理由があるのかと思い、他の物を食べた。

    そして、レジでお金を払う時は
    前回と同じ店員さんだったので聞いてみた。

    「水菜とサーモンのパスタはどうなったの?
    前好評だって言ってたと思うけど・・・」

    と言うと、困ったような笑顔になった。

    定員は笑いながら答える。

    「あーそれ聞かれるの4人目ですよ。
    うちはそんなメニュー出してないんですがね」

    私は店員と違って笑えなかった。

    一週間前の出来事なのだ。

    結局謎はとけなかった。

    違う店のことだったんじゃないのかと店員は笑ったが、
    聞いた4人は皆ある程度この店にきている客であるらしいし、
    一見さんではなかった。

    店を間違えるはずがない。

    結局、不可解な店側のいたずらじゃないかと
    不合理な考えも浮かんだが、
    正直怖くもなく別に損害受けたわけでもない。

    そのまま記憶の片隅にほぼ忘れ去った。

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