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SUN
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かなり前。 土曜の夕方、ほんの少し眠気を感じながらも、 机に向かって数学の勉強をしていた。 問題集。 ある問いを解答し終え、 一度顔を上げる。 前方には壁に貼り付けたヨーロッパ州全図。 「ふぅぃ~」 と息を吐きながら、 意識的にゆっくりと一度だけ瞬きし、 同じ『オーストリア』という赤文字を見る。 異変はここから。 今何時?と腕時計(デジタル)を見ると、 上の文字が『SUN』になってる。 最初の瞬間はそれがわからなかった。 あれ、土曜って『SUN』? あれ?『SAT』? 同じ『S』で始まる3文字だからか 一瞬混乱してた。 まだ問題視とかしてなくて、 ぼーっと下の時間を見ると、 たいして異常なし。 さらにぼーっと日付に視線を移すと、 日付が変わってる。 翌日に。 眠気が吹っ飛び、 その時の感覚どおりに表現すれば 背中がサーーーーーッとなった。 (これが『背筋が凍る』のことかぁ、と後々思った) 「はっ?えっ!?」 と間抜けな声出しながら、 変な形のばんざいをした。 で、右手に変わらず シャーペンを持っていることに気づいて、 その体勢のままふっと視線を下に落としてみたの。 ショック死するかと思ったの。 俺じゃない筆跡でノートにびっしり書いてあるの。 震えながらノート見てみたら、 “今終えたばかり”のはずの解答が ずっと前のページにあって、 そこから続きの問いに対する解答が始まってた。 2、3問確認して、 問題集の順番どおりだったから、 怖くて全部はチェックしてないけど、 そのまま続いてると思った。 たぶん最後まで。 ノートの残りが数ページしか残ってないから、 凄い量。 だって数学用は100枚のノート使ってたんだから。 もう怖くて怖くて、 一人暮らしの部屋を飛び出して 近くのコンビニに走った。 そこに気に食わない店員がいつもいたんだけど、 そいつに 「今日何日ですか!?」 って訊くために必死に走った。 わかってるんだけどね。 でもいなくて、 レジの台をバンッて叩いてまた飛び出した。 客は、なんか味方じゃないような感じがして 目に入らなかった。 川沿いの坂にさしかかった辺りで PHSの存在に気づき、 履歴を見たら母親からきてた。 俺の知らぬ朝に。。。 すぐに母にかけて、 出た瞬間に 「母さんっ、、今日何日か言って!!!」 と泣きながら必死に叫んだ。 (今思うとかなりワケワカラン光景だ・・・) 駅からの帰宅途中の人がけっこういて、 かなり注目されてたみたいだけど、 それどころじゃねー。 俺の語気に何か察したらしき母が、 「どうかしたの?」 と訊き返す。 俺はその語調に少し救われたと感じながら、 「いーから!何日なんだよ!!」。 その後はよく覚えてないが、 詳しく事情は追求されず、 ただずっと慰められていたような気がする。 アリガトカーチャン(\'A`) 母の声に安心して、 気を落ち着かせながら部屋に戻った。 やっぱノートある。 とりあえず、日付が変わっていることと、 俺じゃない筆跡の大量の解答があることは、 受け入れた。 で、落ち着いてその字をさらっと見たときに、 ある事に気づいてまた驚愕した。 当時、ほんとうに大好きな女の子がいたんだけど、 そのコ字がキレイだった。 それだったの。 もらった手紙は嬉しくて 何度も何度も読み返しちゃってたから、 間違いないと思った。 不覚にも、そのコに関連するものが出てきたことに チョッピリ喜びが沸いた。 しかしオカシイ事には変わらん。 部屋の鍵は閉まったままだったから、 うちに来たというのはありえない。 つーか彼女は数学苦手だしな。 付き合ってたわけでも無し。 あとは、その他の何者か、もしくは俺。 筆跡を知るという点で後者らしく思われたが、 それでも、 ・(ほぼ?)完璧な筆跡コピー ・解答丸写しでも一日で終わるかどうかの量 ・そもそも何故24時間まるごと記憶が無いのか (飲食の形跡無し、トイレは不明、服は同じ) など((((;゚Д゚)))ガクガクブルブルな疑問は残る。 何かのメッセージ? 霊能者とかに相談? などと一瞬考えたが、 「俺は現実の世界を見つめ、 現実の世界に生きよう」 と、状況の割りに妙に冷静な結論を下した。 なかなかの英断だと今も思いまふ。 ノート・シャーペン・問題集は燃やし、 おおかた灰になるまで見守った。 灰は川に流した。 すんません→河川管理者 実はそれより以前に、 ソファに座って、 ふと壁時計を見ながら瞬きしたら、 開けたときには3時間回ってた! ということがあった。 しかしそれは寝たんだろうと説明できそうだが、 今回は不可じゃない? 今もって不思議です。 ちなみに例の子は遠くに越して、 そのままほとんど会っていない。 3時間の話↑は別として、 誰にも言ってない。 後に母に話したが、 さらに後にその母がとある事件で 記憶障害になっちゃったから、 実質俺だけの秘密となっていた。
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