【じわ怖】敷地の広い実家の話

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  • 自分の実家は田舎の土地持ち。

    先祖が周辺一帯の地主だったらしく、
    市史にも乗ってる。

    家族が住んでる母屋自体は
    そんなに大きくないけど、敷地は広い。

    母屋と前庭以外にも、
    離れ(父が二十歳くらいまで住んでた古い家。今は物置)、
    裏庭、温室、竹林、
    動物小屋跡(昔は山羊とか飼ってたらしい)、
    家庭菜園スペース、農機具小屋などがある。





    前庭だけでも
    ちょっとした体育館くらい建てられるサイズ。

    そんなわけで、
    公道に面した門は大小合わせて五つあったりする。

    で、田舎なせいもあって、
    庭に家族以外の人間が居るのはごく当たり前の風景。

    ずっと来てくれてる高齢の庭師さんは、
    家族不在時も普通に庭に居たりするし、
    近所で特に親しい何家族かに限っては、
    近道としてうちの庭を横切るのが日常。

    また、うちの敷地は竹林の方から入ると
    どこからが私有地なのか分かりにくく、
    間違って入ってくる子どもの集団や、
    お散歩中のお年寄りなんかも少なくない。

    そして、面倒なのが不動産と建築関係。

    土地を売って欲しい(自宅以外にも土地がいくつかある)、
    アパートを建てないか、リフォームしないか、
    白蟻検査をしないか…などなど。

    なにせ、門のとこにインターフォンが無いので、
    勝手にというか仕方なくというか、
    普通に庭に入ってくる。

    入ってくるだけならまだしも、
    怪しげなリフォーム会社とかだと
    無断で敷地内をウロウロするんだよね。

    そんな環境で育った
    自分達兄弟(兄、姉A、姉B、自分)なんだけど、
    たま~に当たり前のように
    『居ないはずの人』を自宅の敷地内で見たりしてた。

    死んだはずの近所のおばーちゃんとか、
    うちが檀家になってるお寺の先代住職とか。

    まあ、大半は見間違いだろうなーって程度に流す。

    お年寄りって似てるし。

    たまにばっちり見ちゃったり、
    間違えようがないくらいの近距離ですれ違う事もあるんだけど、

    「そんなもんかもなー」

    って感じで受け止めてた。

    「死んだ人もたまには散歩したいよねー」

    って。

    怖い目に遭った事は無かったし。

    前置きが長すぎてすみません、
    ここからが本題です。

    話は自分が小学生の時の事。

    当時の家族構成は、
    両親、父方の曾ばあちゃん、兄(大学生)、
    姉A&B(ともに高校生)、自分(小学六年生)。

    祖父母は既に他界してたんだけど、
    曾ばあちゃんが居た。

    不思議に思うかもしれないけど、
    曾ばあちゃんは後妻で、
    しかも継子であるばあちゃんより若いんだ。
    (うちはばあちゃんが跡取り娘で、じいちゃんが入り婿)

    でも、死んだばあちゃんとは
    姉妹みたいに仲良しだったみたい。

    うちの両親も自分達曾孫も、
    血は繋がってないけど本当のばあちゃん
    (曾ばあちゃんだけど…ややこしくてスマソ)
    みたいに思ってた。

    そんな曾ばあちゃんが、
    入浴中に体調を崩して入院してしまった。

    数年前から心臓が弱くなってた上に、
    他にも持病があったから、家族の間には、
    曾ばあちゃんはもう長くはないだろうな
    って空気が流れてた。

    でも、曾ばあちゃんが
    入浴中に体調を崩したのは病気以外の理由があって、
    お風呂の窓から人が覗いてるのに気付いてびっくりし、
    滑って転んでタイルの上にひっくり返ってしまったからだった。

    覗いていたのはもちろん家族じゃない。

    庭師さんや近所の人だって、
    流石に何の断りもなく
    お風呂の裏にまで入って来ない。

    セールスマンが
    たまたま通るような場所でもない。

    そもそも夜だし、不自然過ぎる。

    泥棒の下見か、姉ちゃん達目当ての覗き魔か、
    とにかく不審者には違い無いという話になり、
    警察にも相談した。

    曾ばあちゃんが入院して
    しばらくしてからの週末、
    両親は曾ばあちゃんの入院関連で外出。

    姉Bも部活の為に帰りが遅かった。

    兄と姉Aと自分の三人だけで夕食を済ませた後、
    兄は一人で薄暗くなりかけた庭に出てった。

    兄、この時まだ二十歳になってなかったけど、
    たまに隠れてタバコ吸ってたんだよね。

    自分は一人でダラダラとテレビ見てて、
    しばらくしてうたた寝しそうになってたら、
    突然

    「この変態野郎逃がさんー!!!!」

    みたいな兄の怒鳴り声が聞こえてきた。

    まだ小学生の自分は、
    子どもだから逆に怖いもの知らずというか、
    何の考えも無しに走って玄関から顔を出した。

    そしたら、少し離れたとこに
    人陰が走ってゆくのが見えたんだよね。

    すぐに兄ちゃんが外から玄関にやってきて、

    「警察!警察!」

    って言いながら、
    自分を押し込めるようにして家の中に入り、
    家電から警察に通報。

    居間に戻ると驚いた事に、
    姉Aがびしょびしょのままパジャマの下だけ履いて、
    上はバスタオル二枚くらいを
    無理矢理羽織るような状態で居たんだよ。

    明らかに動揺してた。

    幼い自分にも、
    姉Aがお風呂覗かれたんだなって事が理解できた。

    で、覗かれてる時に、
    偶然兄ちゃんが犯人を見かけたらしい。

    偶然というより、
    兄ちゃんなりのパトロール?かな?

    そしてその夜、
    駆け付けた警察官の手により、
    犯人はあっさりと捕まった。

    犯人は、去年くらいに隣の町に引っ越してきた
    一家の息子で、姉Aの高校の同級生。

    もろ、姉Aの覗き目当て。

    姉Aの事が好きで、
    告白した事もあるらしいが、
    あっさり断られたらしい。

    余談だけど、姉Aは幼い頃からずっと
    イトコの兄ちゃんの事が好きで、後に結婚する。

    ちなみに、イトコとは血は繋がってない。

    元から危ない奴なのか、
    フラれた腹いせなのかは分からないけど、
    覗き魔と化したその同級生は、
    曾ばあちゃんにバレたにも関わらず、
    またのこのことやってに来た。

    この辺は姉Aの推測だけど、
    姉が学校で覗きの事は何も言ってなかったから、
    バレてないと思ってたみたい。

    「友達にも、
    『曾ばあちゃんが入院しちゃってショック~』
    みたいな事しか喋ってなかったから」

    って。

    犯人は兄に見付かった後、
    とにかく必死に走った。

    うちの敷地の構造がよく分からないまま突っ走っちゃって、
    公道から一番遠くて奥まったとこにある、
    家庭菜園と動物小屋跡の並びに出ちゃったらしい。

    ここからだと、完全に引き返すか、
    ぐるっと迂回して竹林の方を突っ切るかしか道が無い。

    慌てて周囲を見渡していると、

    「ぬしゃ、○○○○!!!
    (容忘れました、スマソ)」

    という、兄の声とも違う怒鳴り声が聞こえた。

    竹林の方に目をやると、
    白髪の大柄なじいさんが立っていて、
    凄い形相でこっちを睨みながら近づいてくる。

    反射的に来た道を引き返す犯人。

    この時兄は既に家の中だから、
    見つからずに済み、正門方面に走り抜ける。

    しかし、間が悪い事に、正門側から人陰が…。

    瞬間、犯人は目を疑った。

    先程まで自分がお風呂で覗いていた
    姉Aの姿がそこにあったのだ。

    しかも、お風呂上がりには全く見えない
    セーラー服姿。

    完全に頭がショートした犯人。

    で、姉のすぐ後ろについていた
    自転車に乗ったお巡りさんが犯人を逮捕。
    (パトカーも後で来た)

    捕まる瞬間、
    先程竹林の方で怒鳴ってきた
    白髪の老人も駆け付けてきて、

    「大馬鹿もんがっ!!
    わしが殺してやろうかっ!!」

    と、更に怒鳴られたらしい。

    犯人が見たセーラー服姿の姉は、
    姉Aでなく部活帰りの姉B。

    実はうちの姉達は双子で、
    顔も体型もそっくり。

    小学校までは一緒の学校だったんだけど、
    姉Bはやりたい部活があるって事で、
    中学からエスカレーター式の私立に行ったんだ。

    去年こっちに引っ越してきたばかりの犯人は、
    それを知らなかった。

    ここで疑問が一つ残る。

    犯人に怒鳴った白髪の老人、
    家族全員心当たりが無い。

    しかも、現場に居たお巡りさんは
    そんな人見ていないと言うし、
    姉Bは姿は見ていないけど
    声は確かに聞いたと言う。

    で、警察の人が
    うちの曾ばあちゃんに事情聴取した際にこの話をすると、
    それまで話を聞いてるかどうかも怪しい状態だった曾ばあちゃんが、

    「それはうちの人(曾じいちゃん)です」

    と言った。

    入院してからうちの両親の問い掛けにも、
    「うん」とか「ああ」とか薄い反応しかしなかったのに、
    はっきりした口調で。

    それから曾ばあちゃんの病状は少しずつ良くなり、
    三ヶ月ほどで無事に退院もした。

    更に五年後には亡くなっちゃうんだけど。

    この一件以来、
    たまにうちに来たセールスマンに、

    「先程おじい様にお声をかけさせていただいたんですが…」

    「すみません、私が勝手に入ってきたので、
    お家の人にお叱りをうけまして…」

    みたいな事を言われる事が度々あった。

    話を聞くと、皆
    「白髪で大柄なおじいさん」と証言する。

    妻に先立たれた後、
    二周り近く歳が離れた後妻をもらった曾じいちゃん。

    「こんなおじさんのとこに嫁がせてしまって…」

    と、曾ばあちゃんに対して申し訳無く思っていたらしい。

    その分、すっごく大切にしてて、
    おしどり夫婦だったとの事。

    曾じいちゃん、
    死んだ後も曾ばあちゃんの事が心配だったみたい。

    曾ばあちゃんを入院にまで追い込んだ犯人の事が、
    許せなかったんだろうなぁ。

    曾ばあちゃんが亡くなってから、
    曾じいちゃんを見かける人もぱったり居なくなった。

    「一緒に天国に行ったのかなぁ」

    なんて姉達と話をしていた時、
    それを聞いてたうちの父が、

    「曾じいちゃん、
    曾ばあちゃんにはすごく優しかったらしいけど、
    けっこう悪なんだぞ。
    二回刑務所行ってるし。
    ありゃ、地獄行きじゃないかなぁ」

    と、笑いながら自分の祖父の汚点をカミングアウトした。

    何で刑務所に行ったかは、怖くて聞けていない。

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