怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
彼女の手
お気に入り
1541
53
1
0
中編4分
Audibleが1ヶ月無料キャンペーン中!
Audibleならホラー小説やミステリー小説をプロ声優が朗読してくれます。Audibleのおかげで通勤や待ち合わせなど退屈な時間が楽しみになりました。詳細はこちら
コピー
「彼女の手」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
20代前半で地方から上京して仕事をしていた時、 間もなくして、同僚の女性と仲良くなった。 これは、その子との話。 名前は、仮にK子。 明るい子で、実家が大富豪だったが、 社会勉強も兼ねて職に就いたらしい。 何度かデートをするうちに親密になり、 運命の女性にすら思えた。 まだお互いの親には面識がなかったが、 将来の結婚も約束していた。 しかし、そんな幸せな日々も長くは続かず、 交際から半年後、 K子は白血病で入院することになった。 俺は毎日病院に足を運んだ。 病状はかなり深刻らしく、 休憩所でK子の母親が泣いている光景も、 何度となく目にしていた。 ある日、いつものように病室に二人でいると、 K子が 「もうお見舞いにこないで」 と言った。 驚いたが、細かく話を聞いてみると、 これから先は、髪も全て抜け落ちるだろうし、 ミイラのように痩せ細り醜く変貌する。 そんな姿を俺には見られたくないし、 綺麗なまま、ずっと覚えていてほしい。 そんな内容だった。 しばくの言い合いの後に、 分かった。と返事をした。 正直、俺も K子のそんな姿を見たくなかったのかも知れない。 何より、愛した人が刻々と死に向かう有り様を、 黙って見ているしかない現状に耐えられなかった。 完全なノイローゼだった。 しばらくして、仕事を辞めて、 逃げるように引っ越した。 苦痛から解放されるために K子のことを忘れてしまいたかったが、 内心、恋しくて胸が張り裂けそうだった。 それから数ヶ月経った、 ある晩の出来事。 俺は何かの気配を感じて、 真夜中に、ふと目を覚ました。 誰かがいる。 生きた人間じゃない。 俺は目を閉じたまま、 身動きひとつ取れずにいた。 すると、その何者かは、 ゴソゴソと布団をまさぐった後に、 俺の手を握ってきた。 K子だ。 手を握られた瞬間に思った。 その掌は、氷のように冷たく、 枯れ木のように痩せ細っていた。 俺は目をあけて、 K子を抱きしめようと思った。 しかしK子と話した最後の会話が脳裏をよぎる。 醜く変貌した自分を見られたくない。 綺麗なまま覚えていてほしい。 それが彼女の最後の意志だった。 俺は、閉じてある目を、 さらにぐっと閉じながら彼女を抱きしめた。 そして彼女の手を握ったまま眠った。 彼女の霊は定期的に現れた。 深夜、目が覚める時は、 つまり彼女が来た時だった。 そしていつも俺の手を握った。 俺も目を閉じたまま、 冷たく痩せ細った手を握り返し、 時には抱きしめた。 俺が起きている時は決して現れない。 やはり自分の姿を見られたくないのだろう。 数年経っても、 まだK子の霊は現れ続けていた。 それ故、俺は恋人も作らず、 人間関係も薄く、 周りからは暗い奴と遠ざけられる存在になっていた。 ある日、 電車でK子と出会った街を通る機会があった。 辛くて逃げ出した街。 しかし数年ぶりに見ると妙になつかしくなり、 思い切って、電車から降りてみた。 しばらく街を徘徊。 K子とよく訪れた公園の前を通りかかった時、 K子の母親が、大きな犬を連れて、 前方から歩いてきていることに気付いた。 俺は即座に自分の顔を手で隠した。 K子の死に目にも会わずに逃げ出した男だ。 恨まれているに違いない。 そう思った。 俺はうつむき加減に歩いた。 あと少しですれ違う。 そのくらいの距離になって、 K子の母親は俺に気付いてしまった。 「あら、久しぶりじゃないの」 「あ、はい…」 ぼそりと返事をした。 そして続ける。 「あの、すみませんでした」 俺のその言葉から、 会話の内容は彼女の思い出話になった。 俺とK子の母親は公園のベンチに座って、 K子の思い出を語り合った。 どのくらい話していただろう、 K子の母親は俺のことを恨んでいる様子もなく、 犬を撫でながら色んな話を聞かせてくれた。 「あの、K子のお墓はどこにあるんですか? 今度お墓参りに行かせてください」 俺がそう言うと、 K子の母親は怪訝な表情を浮かべた。 「K子、まだ生きてるわよ」 俺は一瞬固まった。 K子は完治して退院。 そして数年前に恋愛結婚、子供もいるらしい。 その事実を知って以来、 俺は眠れなくなり、 今では重度の不眠症だ。 あの手は誰なんだ?
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
この話は怖かったですか?
怖かった53
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
マジで付き合う15分前2 (Pericomic)
転生したらスライムだった件4 (GCノベルズ)
転生したらスライムだった件5 (GCノベルズ)
マジで付き合う15分前3 (Pericomic)
私たちの連絡係さん ツムママの漫画集
転生したらスライムだった件3 (GCノベルズ)
前の話:【洒落怖】漫画のような話
次の話:【洒落怖】夜の堤防
怖い話 No.10114
【洒落怖】一目惚れしました
1220
39
短編1分
怖い話 No.8994
【洒落怖】イエンガミ
1864
37
長編9分
怖い話 No.22373
【洒落怖】患者さんの夢
686
10
長編6分
怖い話 No.17048
【洒落怖】山の神様が過保護だった
1616
33
中編3分
怖い話 No.9667
【洒落怖】落ち武者らしき生首
1531
15
短編2分
怖い話 No.17422
【洒落怖】神霊写真
2033
30
怖い話 No.21156
【洒落怖】後悔と恐怖の記憶
1543
17
長編7分
怖い話 No.22367
【洒落怖】別れた女
816
23
怖い話 No.17854
【洒落怖】母のメモの内容が変わった
1691
51
怖い話 No.14603
【洒落怖】土建屋の事務長との話
1339
38
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
普通の彼女じゃない
ババさん
牛女の予言
グリス
三輪車
クリーニング屋
自習室