そしたら三通目だよ。
ご め んあ け て
私は鍵でも忘れて上まで入れなくなったのかと思った。
言い忘れたが、Yのマンションは1階の玄関にロックがかかるシステムになっていて、自宅の鍵で開けるか、インターホンで住人に開けて貰わないと入れない。
少し抜けたところのあるYは忘れ物などしょっちゅうだ。
でも、それならばインターホンで私を呼び、開けてくれと言えばいいのに、なぜ・・・。
徐々に大きくなる違和感。
玄関口に立っているのは、もしかしてYではないのかもしれないと感じ始めていた。
せめて、一階でインターホンさえ押してくれれば顔を確認できるのに。
オートロックのシステムには防犯のため、インターホンにカメラが付いている。
そしてそれは、これまた防犯のためか、呼び出されないと部屋からでは起動できなかった。
私は念のため、
「鍵忘れたの?」
と返信を試みた。
もしホントにYだったなら随分意地の悪い返事だなと思いはしたが、不安だったんだ。
ご め んあ け て
四通目。
駄目だ、これはもう変な人かもしれない。
でも受信されてきた登録名はYの名だ。
Yのイタズラ説も頭をよぎりはしたが、どう考えてもYらしくない。
頭がぐるぐるした。
変質者なら開けてはならないが、このマンションの他の住人が帰ってくるなりして入り口を開けてしまえば入られてしまう。
どうすればいい?
警察に通報?
でも何事もなかったらただ恥かきなだけだし、住人であるYにも悪い。
2、3分か、それとももっと経っていただろうか。
返事も行動も出来ず迷っている私の耳に、インターホンの音が届いた。
部屋の入り口からだった。
1階からではなく。
チャイムの音が違うからすぐにわかるのだ。
来た。誰かが。
出なくてはならない。
私は硬直していた。
五通目のメールは着ていない。
鍵が開く音がした。
扉が開く。
玄関からまっすぐの廊下から部屋のドアはよく見えた。
Yだった。
どうして開けてくれなかったの?
訊かれた言葉に閉口している私に、Yは少し怒っているようだった。
インターホン鳴らしたのに。
・・・どうしたの?
変なテレビでも見た?
よっぽど私は蒼白な顔でもしていたんだろう。
Yは私の顔をのぞき込んで笑った。
そのあと、案の定食事を食べていなかったYと一緒に遅い朝食をとったが、あまり喉を通らなかった。
私は妙なメールについてYに訊いたが、Yは知らないと言う。
私は少し不機嫌になり、証拠だと言わんばかりにメールを見せようと携帯を開いた。
不思議なことにメールはいくら探しても見つからなかった。
Yは脅かすつもりならもっとマシな話しにしろと笑ったが、私にとっては冗談じゃなかった。
そしてYは、そういえば一階に見かけない女が居たっけ。とぼそりと言った。
あれきり、私はYのマンションには何となく近づけなくなり、Yとも少しずつ疎遠になって今では会っていません。" />

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【洒落怖】シンプルなメール

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