怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
山の恩人
お気に入り
965
36
1
0
中編4分
Audibleが1ヶ月無料キャンペーン中!
Audibleならホラー小説やミステリー小説をプロ声優が朗読してくれます。Audibleのおかげで通勤や待ち合わせなど退屈な時間が楽しみになりました。詳細はこちら
コピー
「山の恩人」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
20年以上前、 うちの爺さんの話。 爺さんは近所の山で 野鳥の写真を撮るのが趣味だった。 ある日、 山から戻った爺さんをみて皆驚いた。 背中に大きな切り傷があり血まみれ、 全身擦り傷だらけで服はぼろぼろ。 右手の小指が折れており、 変な方向に曲がっていた。 どうしたのか、と尋ねると、 「それがよう、山でよう、 バケモンと一戦交えてきたんだよ、 危なくやられるとこだった」 という。 家族全員呆れたが、 話を聞いてみた。 爺さんはいつものように山奥に入り 野鳥を探していた。 切り株に腰掛け、 弁当を食べ始めると、 背後に気配を感じた。 振り向く前に何かで背中をバッサリ切られ、 ものすごい力で押し倒されたという。 それはフーッと深く息をしている。 茶色の毛むくじゃらで、 頭が大きく角はない。 爪がとがっており、 前足で威嚇しながら二本足で立つ、 見たこともない獣だった。 爺さんは逃げ切れないと判断し、 応戦した。 山用のナイフを持っており、 それを武器に取っ組み合ったが、 形勢不利だった。 なんでも、 獣の体に何か所かナイフを突き立てるも、 相手はなかなかひるまず、 鋭利な爪で次々と傷を受け、 爺さんは半ば死を覚悟したそうだ。 すると、どこからあらわれたのか、 男がいつの間にか獣の背後におり、 両手で振り上げた石で獣の鼻先を殴りつけた。 獣はあわてて逃げて行ったという。 男は非常に汚らしい格好で、 頭髪は薄いがひげの濃い、 そして異様に手の長い男だった。 男は助けてやったんだから礼をしろ、 と開口一番爺さんに言った。 特に酒とたばこ、味噌がほしいと言う。 爺さんは快諾し、 ふもとに戻り有り金はたいて買い物をすると、 男のもとに戻った。 男は切り株に座り爺さんのお弁当を食べ、 カメラをいじって遊んでいた。 男はお礼の品に喜ぶと、 「また何か困ったことがあったら手土産を持ってここに来い」 と告げると早足で去って行ったという。 家族は誰も信じていなかった。 そのあと、 爺さんはろくに傷の手当をしなかったため、 傷口から化膿し炎症にかかり 救急車で運ばれる羽目になった。 病院でも同じ話をしたが、 やはり誰も信じてくれなかったとか。 俺は信じていた。 一人っ子だったおれはじいちゃんっ子で、 よく遊んでもらっていた。 母に禁止されていたが、 おれはこっそり爺さんに 山にも連れて行ってもらっていた。 爺さんは山に行くたびに お土産と称してワンカップの酒を持っていき、 例の切り株に置いていた。 「あのヤローも多分バケモンだろ、 でも恩人だからな、義理を通さないとな それにな、こうしてここに置いておくと、 次来たときにはなくなってんだよ あいつも俺やお前の親父とおんなじで酒飲みなんだよな」 と語っていた。 あの獣について聞くと、 「あん時はやられたが、 もうだいじだよ あいつの急所は鼻だってことはわかってるからな、 次に見たらぶっちめて俺たちで新聞屋に売ってやろうぜ」 と言う。 しかし、 あの獣や男には それ以来会うことはなかったようだ。 爺さんは遺言状を残していた。 爺さんの死後、それを開封すると 遺産や身辺整理などの本題以外に、 俺に名指しであの山についての頼みごとが記されていた。 それは、 山にありったけの土産を持っていき、 あの切り株に置いてこい そして俺が死んだということ、 俺の家族を守ってくれということを伝えろ という内容だった。 皆呆れたが、 まあ遺言を無下にするのも、 ということで俺が代表していくことになった。 俺は友人数人に手伝ってもらい、 たくさんの酒、たばこ、味噌を持って行った。 爺さんの遺言通り 手紙を添えた土産を置いて俺は山を下りた。 山はそれから何年も経ったあと、 開発され、ゴルフ場やリゾート施設が建った。 観光地向けの自然はきれいに残されているが、 実態はゴミだらけの汚い山になってしまった。 熱心にリゾート誘致していた地元は喜んでいる。 でも、爺さんが見たら嘆くと思う。 あの切り株があったあたりももう跡形もない。 男はどうしているのだろうか、たまに思い出す。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
この話は怖かったですか?
怖かった36
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
穏やか貴族の休暇のすすめ。@COMIC 第2巻 (コロナ・コミックス)
Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ 1 (ガルドコミックス)
穏やか貴族の休暇のすすめ。@COMIC 第1巻 (コロナ・コミックス)
今日も絵に描いた餅が美味い@COMIC 第3巻 (コロナ・コミックス)
今日も絵に描いた餅が美味い@COMIC 第2巻 (コロナ・コミックス)
転生したらスライムだった件4 (GCノベルズ)
前の話:【洒落怖】のけぞる嫁
次の話:【洒落怖】写真に写った女
怖い話 No.18200
【洒落怖】映画館にいたおっさん
1813
44
怖い話 No.8599
【洒落怖】公園デビュー
1330
37
短編1分
怖い話 No.9978
【洒落怖】ヒールの音と笑い声
1079
42
中編3分
怖い話 No.1992
【洒落怖】山姥
朗読 怖怖ちゃんねる【2ch怖い話まとめ】
1799
34
怖い話 No.2669
【洒落怖】列をなす人々
1547
31
短編2分
怖い話 No.1225
【洒落怖】山奥のホテル
1349
49
怖い話 No.7334
【洒落怖】車の異常
962
怖い話 No.2179
【洒落怖】和服姿の女中さん
1365
怖い話 No.10528
【洒落怖】空腹具合がわかる女子
2613
33
怖い話 No.7917
【洒落怖】手書きの地図
780
45
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
ババさん
普通の彼女じゃない
牛女の予言
グリス
三輪車
クリーニング屋
自習室