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お稲荷さんの守
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弟の親友に、 超イケメン君がいまして イケメンだけど自覚がまるで無く、 ださださな子でして 里帰りで久々に会った時、 そういえばこの子、妹いたなあ・・・と思い、 お元気かしらと尋ねた。 イケメン君「妹はもう、2年前に死んだよ。 知らんかった?」 聞いてない。 まあ、面識もほとんど無いので 報せが入らなかったのもわかるけど、 それにしてもビックリした。 だって弟の同級生、 その妹といえば 当時まだハタチそこそこだったはずだ。 病気もなく、 普通に暮らしていたんじゃなかったっけ 「え、事故かなにか? どうして亡くなったの・・」 と思わず訊きかえすと S君(イケメン君)「う~ん、間近で見た俺も未だに信じられんのよ。 姉ちゃん(私のこと)、 うちの裏の藪にあるお稲荷さん見たことあったっけ?」 私「え~・・ S君家の中に入ったことないしさ・・ そのお稲荷さんがどうかしたん?」 S君「本当は近所の人が守をするはずのお稲荷さんやったらしいんや。 けど、その人たちどっかに引っ越して、一番近いのはウチ。 別に何かする義務があるわけじゃないやろうし、 と思って誰も特別なことはせんで放置よ。 だって何をどうすればいいか俺ら知らんしな」 私「はぁ、私もわからんわそういうの」 S君「でもなぁ、 お稲荷さんちゅーのは世話されんかったら祟る、 家族の中で憑きやすいのがヤラれる、 みたいな話をされたことはあったんよ。 まあ信じてなかったけどな。 親父もそう。それが妹にきたわけよ」 私「なんでそう言い切れるんよ。 具体的にどうぞ」 S君「まるっきり普通の妹がよ? ちょっと具合悪いんかな~くらいに暗くなって、 それから何日か休んだんやけど、 布団の上でピョンピョン跳ねよる。 おかしいやろコレ」 私「悩みが高じてそうなったとかじゃないん? 跳ねるのはよくわからんけど」 S君「俺の顔みても『どちらさまですか』としか言わん。 血色も悪くなって、検査兼ねて入院したけど治らん。 ちゅーか原因わからんまま。 言葉も文章もハッキリなのに、 あんなに意味の繋がらん事言う妹は見たことなかった。 態度すっげー悪くなって、誰にでも攻撃的で、 目が釣りあがってやせ細って。 そのまま弱って死ぬまで、 時間はかかってねぇよ」 私「近所に神社とか寺とか無かった? 御祓い相談とかはしたん」 S君「ちゃんとした相談はしてなかったわ。 今からでもしたほうがいいんかな」 私「した方がいいと思うよ。 それが結局お稲荷さんのせいじゃなかったとしても 気休めにはなるし、 どの道そのお稲荷さんをどうするかについても 色々相談せんことには心配やん」 S君「その坊さんまだ若くて、 先代みたく色々できる人じゃねぇんよ。 それもあって相談は考えてなかったんよな。 いくら坊さんでもこんな胡散臭い話信じてくれるかどうかわからんし。 まああれ見た人はわかると思うけどな。 ○○とか(うちの弟)もビックリしたらしいし。 顔とか声が別人やったもん。 ずっと一緒におった俺でもあれが狐とか思いたくねーわ。 でもホントに狐みたいになっていったんよなあ・・」 嘘ついて気を引いたり、 自己防衛するような子ではないのを 長年知ってるだけに迷う。 最後に 「やっぱ坊さんに話してみようかな」 と言ってたから、 なんらかの対処をしてるとは思いたい。 んでも・・・ 狐に憑かれたって人がこんな身近にいたとは思わなかった。 この話もこっくりさんの話見るまで忘れてたわ。 いや、まだ狐と判明したわけじゃないし、 信じたくない私がいるけど、 伊丹十三のエッセーにあった「クダショー」の話を思い出す。
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