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目にやさしいダークモード
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長編9分
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高校のときの話。友人山田(仮名)の両親が法事で、ニ、三日家を空けることになった。俺と田中(仮名)は暇な夏休みを送っていたので、泊りがけで遊びに行くことにした。夕方から集まり、何か料理とか作って、ちょっとした合宿気分。夜になりだべっていたら、怖い話で盛り上がりそうになった。ちょうどその時、山田の中学時代の友人鈴木(仮名)も遊びに来た。大人しくて、真面目そう。一見いいとこの坊ちゃん風で、幼い感じがした。 かなり小柄で、高校生には見えなかった。俺と田中は鈴木と初対面だったが、鈴木はすんなり話の輪に加わった。山田が都市伝説みたいな話をした後、俺がとっておきのネタを始めたのだが、田中のノリが悪い。くだらないツッコミや煽りを入れて茶化してくる。「おまえ本当は怖いんだろ。だから白けさせようとしてんだな」「違うよ、おまえの話が全然怖くねえんだよ」当時俺らはいろんなことで、互いにライバル意識みたいなのがあった。それが口論に発展することもしばし。見かねた山田が、諭すように提案してきた。「おまえらどっちがビビリか、肝試しで対決してみたら?」田中は乗り気だったが、俺は少し腰が引けた。「○○橋の方に防災倉庫がある。そこは出るっていう噂だ。中学の時の先輩が、彼女と一緒に見たとか言ってた。そこでやろう」鈴木はもう遅いので帰るとのこと。三人で防災倉庫に向かったのは、十一時くらいだったか。橋の手前にちょっとした空き地があり、そこに古いプレハブ小屋があった。入り口は建付けの引き戸で、掛け金に南京錠がしてあった。「実はこれ、壊れてんの」山田はその古い南京錠を外しながら、淡々と言葉を続けた。「先輩、彼女を連れ込んでやってたらしい。で、二人して見たんだと。何でも、ホームレスがここで行き倒れになったことあって、多分それじゃないか」中は教室くらいの広さで、土嚢やカラーコーン、ポールなどが整然と置いてあった。数年来の川の護岸工事で、これらの用具も使用されず、部屋全体が埃っぽい。天井には裸電球が一つ吊るされていたが、スイッチは手元になかった。「一人でいるのはさすがにやばいから、おまえら二人で一時間。その後一人三十分の延長戦。それをギブアップした方が負けってことで」田中はOKと即答した。にやにや笑いながら、俺を見ている。(もう戦いは始まってるってか?)俺は田中の挑発に乗ってしまった。「表から鍵掛けとく。一時間したら開けに来る」「懐中電灯置いてけよ」山田にそう言うと、スモーカー田中が百円ライターに着火して、「これがあれば大丈夫だろ」と先手を打ってきた。土嚢に登れば裸電球を点灯させることもできるし、嵌め殺しの窓もある。その下は、橋の常夜灯からの明かりも差し込んでいた。俺はすかさずその場所を確保し、座り込んだ。そして我慢比べと覚悟して、だんまりを決め込んだ。田中はタバコに火をつけ、夜目に慣れた頃、口を開いた。「山田の先輩って知ってるか?」「さあね」「ここに彼女連れ込んでやったとか言ってたよな。何してたのかね」「アホか」田中も静寂や暗がりが怖いのだろう。だが、ここで普通にだべっていては勝負にならない。俺は意地を張って田中を無視した。「たぶん、この上にシートか何か敷いてやったのかな」田中はすっと立ち上がり、辺りをライターで照らした。部屋の中には大と小の土嚢のブロックがあり、その間が通路になっている。小さなブロックの方が窓側で、俺らはその上に腰掛けていた。なぜか傍らに、蛇のようにドグロをまいたロープがあった。「こっちの奥には何があんだろう」田中は土嚢の間を注意深く歩き始めた。信じられない行動だった。俺は取り残される恐怖に怯え、思わず後を追おうとした。頭の中には、死んだホームレスのことしかなかった。何かあったらすぐ田中の方へ逃げられるよう、俺は腰を浮かして恐怖に耐えた。「おーい、線香があったぞ」暗がりにぼんやり見えていた山田が、突然姿を消したかと思うと、間延びした声をあげた。「蚊取り線香だけどなあ」「最近誰かが入り込んだのかなあ?」田中は、恐怖よりも性欲が勝っているらしい。信じられない想像力だった。「おいおい、コンドーさんの袋があるぞ」俺は自らの負けを確信した。「あいつ○○中だよな。うちの高校、あそこ出身の可愛い子っていたっけか」田中の質問に答える余裕はなかった。「…そうだよなあ。可愛い子は○○女子に行っちゃうんだよな」俺は田中の姿を確認するので精いっぱいだった。「でもD組の○○、あいつ確か○○中だろ。けっこう良くねえ」ライターを点火するたび、あいつの姿が浮かび上がる。「体操着の胸のあたりとかな」話し振りに、ちょっと違和感を覚えた。「おいっ!おまえ誰としゃべってんの?」うあああああああああ一瞬沈黙があり、田中がわめいた。土嚢の陰から飛び出すと、こちらを無視していきなり扉に体当たり。建付けが悪かったのか、その引き戸は簡単に外れた。街灯が部屋の中を照らし、俺はその奥にちらっと視線を送った。あれっ!あいつ鈴木じゃないか。躊躇する間もなく、俺は駆け出す田中の後を追った。「ちょっと待て!あれ鈴木だよ」コンビニの前で田中に追いすがり、やっと息をついた。「だまされたんだよ。山田と鈴木がぐるになって、俺らを脅かしたんだって」「鈴木?鈴木って誰?」きょとんとした顔つき田中。「はあ?」二人の会話はまったくかみあわなかった。「じゃあ、あそこで誰と話してたんだよ」「暗くて分かんなかったけど、てっきりおまえだと思ってた。顔は見えなかったけど、俺の後ろに確かに誰かがいた」「それが鈴木なんだって」そう言いながら、こんないたずらや悪ふざけするような奴には見えかったな、と思った。正面に座り、一番熱心に俺の話に耳を傾けていた。ほとんど喋らなかったが、時折軽く相槌を打ったりして、好感すら持てた。鈴木なんて奴は訪ねてこなかった、と田中は言い張る。とにかく山田に聞くしかないなということで、俺らは足早に山田宅へ向かった。チャイムを鳴らすと、山田が不安げな表情で出てきた。「おまえら、どこに行ってたんだよ」俺と田中は唖然として顔を見合わせた。「だから、飯食った後、ソファに座って三人で野球中継見てたよな」ここまでは皆同じだった。「俺は昨日遅かったから、野球見ながら寝ちゃったんだよ」と山田は言う。「おまえが眠そうにしてたから、俺が怪談話を始めたんだよ」と俺。田中も同意する。「話してる最中に、鈴木っていう中学の同級生が部屋に入ってきたろ」俺だけが確認している。「俺、鈴木って友達いないし、そいつが勝手に家に上がりこんだのか?」言葉に詰まると、田中が後を引き継いだ。「あの川べりの小屋に、案内したのは覚えてるだろ。おまえが言い出したんだ」自転車で行こうと言う俺を無視して、山田は一人先に歩き出した。防災倉庫に着くまで、ずっと無言だった。到着するなり、あらかじめ決められていたように、肝試しの設定を滔々と喋りだした。まさか、夢遊病者のできることじゃない。山田は頭を抱え込んだ。「だから、もう完全に寝てたんだよ」怯えているのかもしれなかった。「じゃあ、あの小屋のことも知らないのか?」絶句した田中に変わって、俺が訊ねる。「知ってる。あそこは中学の時の通学路だった」山田は真っ青な顔になって、震えているように見えた。「ずっと前、いじめにあってた奴が、あそこで首吊り自殺したらしい」全員黙り込んでしまった。俺と田中はいったい何を見たのか分からず、混乱していたと思う。「寝てて、夢を見た」沈黙を破るように、山田がふっと口を開いた。「おまえらが、どっかの部屋にいて、首吊って、死んでた」三人同時に顔を上げた瞬間、部屋の照明がパッと落ちた。その刹那、ソファーテーブルの上を、スーと白い人影が通り過ぎた。
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