怖い話登録数17326話
目にやさしいダークモード
278
172
6
長編7分
あとで読む
Amazonバグ?w普通の漫画がタダで読めるんだけどwww
Amazonで漫画がマジで0円になってる。今のうちに手にいれとけ。読むのはいつでもいい
詳細はこちら
コピー
「マネキン」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
投稿する
私には霊感はありません。幽霊の姿を見たこともありませんし、声を聞いたこともありません。ですが中学生のときに一度だけとても怖い体験をしました。 中学二年生のとき交通事故で父を亡くし、母の実家へ引っ越すことになりました。祖父もずっと昔に亡くなっていたので、祖母・母・私の3人だけの暮らしになりました。 父が死んだショックと新しい環境で不安もありましたがクラスメイトは温かく出迎えてくれました。その中でもS子は特に仲良くしてくれました。学校では教科書を見せてくれたり校内を案内してくれたり、放課後も話相手になってくれたり。S子と仲良くなるにつれ他の子にも心を開くようになって、2か月もたてばすっかりクラスにも馴染むことができました。 そのクラスにはF実という可愛い女の子がいました。女の私から見てもF美は小さくて守りたくなるような可愛さがありました。席替えで偶然同じ班になったきっかけでF美ともいろいろ話ようになりました。F美も私と同じで母子家庭だということが分かり親近感も覚えました。 まあF美の場合は死に別れはなく離婚が理由だったようですが。彼女も私と同じような境遇だと知りもっと仲良くなりたいなと思いました。ただし、それは始めて彼女の家に遊びにいくまでの短い期間でしたが。 ある日、私はF美の家に行くことになりました。理由は覚えていません。昔の話だからというのもあります、それよりも彼女の家で見た光景があまりにも強烈すぎて、細かいことがあやふやになっているのだと思います。 そこにはS子もいました。S子はF美のことがあまり好きではなかったようで私がF美と仲良くしていたことも気にいらなかったようです。それなのにS子がついてきた理由もやっぱり思い出せません。とりあえず、私とS子はF美の家を訪ねたのです。 F美の家は古い平屋で木造の壁は反り返っていて、一軒家ですが庭はなく隣の家との隙間は僅かに開いているだけ。正直古臭いと感じましたが、私の祖母の家も年季が入っていますし、母子家庭で生活が苦しいのはしょうがないでしょう。 F美が玄関で出迎えてくれました。家の中にあがると奥の部屋から綺麗なおばさんが出てきて私とS子に深々とお辞儀をしました。洗濯ものを取り込んでいる最中だったようで手にはタオルや下着をぶらさげていました。 おばさんはどことなく嬉しそうな表情をしていました。その理由はF美が家に友達を連れてくるのは少ないからだと思います。あんまり家に人を呼ばないとF美自身も言っていましたから。 F美の部屋に入ると私は驚きました。正直なところこんな古臭い家なのだからF美の部屋もボロボロで女の子らしくない殺風景な部屋を想像していました。F美は凄く可愛い子だと話しましたが、そのぶんオシャレには気を遣っているようで、明るい色のベッドや棚の上にはぬいぐるみが並んでいるなど、予想以上に女の子らしい部屋でした。たった一点を覗いては。 部屋の隅に男が立ってこっちを見ていたのです。いや、正確には男のマネキンです。その姿は今でもしっかりと目に焼き付いています。マネキンなので当然ですが顔は綺麗に整っています。それだけに生気のない視線でまっすぐにこちらを見ていることに不気味さを感じました。 マネキンは両腕を曲げ、Wのような形で横に広げていました。そして真っ赤なトレーナーを着て帽子を被っていました。さっきのおばさんが身に着けていた服よりも随分と高そうに感じます。 私とS子は茫然としていましたがF美は気にかける様子もなくマネキンに近寄って帽子の角度を整えていました。その自然な行動に私は鳥肌が立ちました。 「かっこいいでしょう」 F美が言いました。感情のこもっていない口調でした。喜怒哀楽のどれにも当てはまらないその言い方に恐怖さえ感じました。 「いらっしゃい。よく来てくれたわね」と言いながらおばさんがケーキと紅茶を持って部屋に入ってきました。不穏な空気から解放された気がしました。S子がおばさんからお皿を受け取りテーブルの上に並べます。私も手伝おうと手を差し出したのですが、ケーキと紅茶は全部で四人分あることに気づきました。 あれ、おばさんも食べるのかな?そんなことを考えているとおばさんはニコニコと笑いながらケーキと紅茶をF美の机の上に置きました。そこはマネキンのすぐそばでした。F美はじっとマネキンを見つめていました。私からは彼女の髪の毛しか見えません。すると突然こちらを振り向いて何事もなくケーキを食べだしました。 とんでもない場所に来てしまったと私は思いました。この家族はあれを人間と同じように扱っているようです。高価な服を着せたりケーキを差し出したり。でも二人ともあれに話しかけたりはしません。あれを一体なんだと思っているのでしょう。もし人間と思い込んでいるのなら私たちに紹介してくれそうなものです。なんだか中途半端な感じが余計に私を不快にさせます。服の下は汗でびっしょりでした。 この家はおかしい。私はその思いを必死に振り切ろうとなにか話題になるものを探しました。部屋の隅に鳥かごがありました。意識をマネキンから遠ざけよう。いつも通りの会話をすれば安心できるような気がしました。 『鳥飼っているの?』 「いなくなっちゃった」 『そうなんだ・・・』 「うん、いらなくなったから」 いらなくなった?変な言い回しが気味悪い。飼っていた鳥に対してなんの愛情も感じない言い方。もう帰りたい。この家はやばい。これ以上いたら私までおかしくなってしまう。 そのとき「トイレ借りるね」とS子が立ち上がりました。「廊下の向こう、外出てすぐ」とF美が答えるとS子はそそくさと部屋を出ていきました。自分だけ逃げてと私はちょっとだけS子に対して怒りを感じました。 もう何を話してもF美と意思疎通はできない。きっと変な答えしか返ってこない。私はずっと下を向いていました。ほんの数分ですが体感的にはとても長い時間が過ぎたように感じます。 パタパタと廊下を走る音が聞こえました。S美が部屋に入ると「ごめんね。もう帰ろう」と私に言いました。S子の顔は真っ青でした。決してF美のほうは見ようとせず私の顔を見つめていました。「そう、おかえりなさい」とF美はいいます。ずれた言葉に私は悲鳴をあげそうになりました。 S子が私の手を引っ張って外に連れ出そうとします。私は形式上でもおばさんに帰ることを一言告げようと思っていました。顔を合わせるほどの勇気はありませんでしたが、F美の部屋の向こうにある襖が少しだけ開いていたので、「すいません、失礼します」と声を出しました。 その瞬間、手が伸びてきてピシャリ!と勢いよく襖が閉じられました。私たちは逃げ出すようにF美の家を出ました。夢中で走り続けました。S子は少しでも離れたいと言うかのように一言も喋らず全速力で走り続けます。ようやく安心できると思える場所につくと私たちは立ち止まり息を整えます。 「もうF美と付き合うのはやめて」とS子が言いました。「あの家はやばい。F美もやばい。でももっとおかしいのはおばさん。あれは完全に・・・」と続けます。S子はトイレに行ったときのことを話し始めました。 S子が部屋を出たとき隣の襖が開いていました。彼女は通り過ぎるときに何気なく部屋の中を見てしまったそうです。そこにはマネキンの腕が4~5本転がっていました。そのすぐ傍で座布団に座ったおばさんがマネキンの腕を狂ったように舐めていたのです。 S子は恐怖に怯えながら用を済ませ、帰りにまたその部屋の前を通りました。チラっと目を向けるとこちらをじっと見つめるおばさんと目があいました。感情のない、まるでマネキンのような目。マネキンの腕があった場所には洗濯物が積まれていました。 「マ、マネキンは・・?」 S子はつい口を漏らしてしまいました。おばさんは何も言わずに黙ってにっこりと微笑みました。その直後、彼女は急いでF美の部屋にきて私を連れ出そうとしたのです。 その日の出来事があまりにも恐ろしくて私はF美とは必要以上に喋らなくなりました。この話をみんなに言おうか迷ったのですがやめました。おそらく誰も信じないと思います。F美と親しい子にそれとなく話を聞いてみたのですがF美の家でおかしなものを見たことはないと言っていたからです。 あれから十数年がたった今なら冷静に振り返ることができます。一体あれはなんだったのか今でも分かりません。もしあの家族がマネキンのことを隠していたかったのなら、どうして仲が良かった私だけじゃなくS子にも見せたのか。どんなに考えても納得のいく答えが思い浮かびません。 今思うと腕のWの形にしているマネキンを見たことがありません。それでは服が着せられませんから。しかしあの赤いトレーナはマネキンの身体にピッタリと合っていました。まるで自分自身で着たかのように。これが私の体験談の全てです。
この話は怖かったですか?
怖かった172
ツイートする
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
朗読つきの怖い話ランダム
ウチは除霊してない
もいわ君の怖い話・怪談朗読チャンネル
工事現場のパワーショベル
逢魔ゆみにむ
暗い海
裏バイト
はこわけあみ 酔いどれホラーV
赤坂の日枝神社
兵隊さんとの想い出
いま話題のホラー漫画
憑きそい (扶桑社コミックス)
ホラーアンソロジーcomic 死角 (comic死角)
HOLY ホラーコミック傑作選第1集 (角川ホラー文庫)
隣人 内田春菊ホラー傑作選 (文春デジタル漫画館)
小松左京の怖いはなし ホラーコミック短編集
インスマスの影 1 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス)
真夜中にやって来る
アフターゴッド(1) (裏少年サンデーコミックス)
名無し
なんでオリジナルの文章勝手に改変してあるの? 違和感がすごい
嫌いじゃない
あい
こういうのらびゅー❤
凄く怖かったです
マジで洒落にならんですね…。怖っ!
オリジナルってなに?
前の話:【洒落怖】水中睡眠
次の話:【洒落怖】天狗
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
怖い話 No.18701
【じわ怖】知らない男
369
7
0
短編1分
怖い話 No.9535
【洒落怖】田中さん
36
4
短編2分
怖い話 No.2541
【洒落怖】霊感を持つ母
650
5
怖い話 No.8490
【洒落怖】犬鳴きトンネル
403
2
中編3分
怖い話 No.15826
【意味怖】千鳥足
250
14
怖い話 No.14423
【洒落怖】私のうちの納屋
203
怖い話 No.5926
【意味怖】眠りに落ちた美女
4187
37
8
怖い話 No.16900
【意味怖】交換留学生
555
13
怖い話 No.15678
【意味怖】リビングへ行くと・・・
269
怖い話 No.12326
【じわ怖】天罰
297
中編4分
怖い話 No.6205
【意味怖】世界に一人だけ
485
怖い話 No.19522
【意味怖】もうお前の部屋にいるよ
446
怖い話 No.16174
【意味怖】寒い日
604
18
怖い話 No.21275
【洒落怖】婆さんが座敷童子に会った
99
怖い話 No.15946
【意味怖】粉砕機
502
怖い話 No.11560
【ほん怖】エンジンがかからない
201
怖い話 No.21482
【洒落怖】わけのわからん死にかけかた
75
怖い話 No.4468
【じわ怖】竜巻の中に…
143
怖い話 No.6989
【意味怖】柱
411
怖い話 No.19682
【意味怖】弁当屋で働く女の子
430
1
新着洒落怖
恐ろしい漏電
全身タイツ
サリョ
大きな木
案山子の神様
変化する遺影
木彫りの大黒様
安っぽい人形
肩凝り
トウモロコシ
自首した理由
拾った石
新着コメント
信じざるを得ない
まりこ人格
腕章の少年
身に起こる不幸
峠の事故
階段の人
林道
旧街道とクロスする地点
怪しいメロン売り