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目にやさしいダークモード
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長編9分
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ひと月くらい前、 俺が夜勤の仕事をしてたときの事。 二人一組で仕事するんだが、 その時の相棒は、 入って研修を終えたばかりの新人。 俺はそいつとは、 就任の時に顔合わせて挨拶した程度。 愛想がいい訳でもなく、 特に個人的な付き合いがある訳じゃなかった。 で、たまたまその日そいつと組むことになったんだが、 当然話題なんかない。 まあ俺も沈黙が苦手とかじゃなかったので、 特に話もせず待機してた。 そしたら、そいつがおもむろに、 「〇〇さん、あんた弟いるよね?」 って聞いてきたんだ。 しかもタメ口。 こいつにプライベートな話なんてしたことないし、 話すつもりもなかったから、 急にそんな事言われて 「は?」ってなった。 ま、会社の誰かが話したかもしれんけど。 なんだコイツと思いながら様子を窺ってると、 「離れて住んでるんだよな?」 と言った。 確かに俺は実家を出て、 会社の近くで一人暮らしをしている。 その方が不規則なシフトの仕事には便利だからだ。 「だからなんだよ」 と俺が警戒しつつ答えると、 そいつは唐突に、 「あんたの弟、 今なんか怖い目にあってるみたいだぜ」 と言い出した。 俺が更に不信感丸出しでそいつを見ていると、 ふんと鼻先で笑いながら、 「嘘だと思うなら電話でもしてみたら?」 と言った。 日付も変わったあたりなので、 寝てるだろう弟を起こすにもしのびない。 まだ学生だし、 翌日は学校もあるし。 そう逡巡していると、 そいつは飄々とした顔で、 「ま、信じないならそれでもいいけど、 今頃弟泣いてんだろうな」 と言った。 その態度にむかっときた俺は、 弟に電話をかけてみることにした。 何コールかして出なかったら、 寝てることにして切るつもりだった。 なんだか釈然としないまま弟の携帯にかけると、 驚いたことに何回もコールしないうちに弟が出た。 『あ、兄貴?! どうしよう、家の外になんかいるんだよっ。 足音聞こえないのになんかいるんだ すげーこええよ どうしよう兄貴親父もいないし俺一人でどうしようっ』 なんだかこっちがびっくりするくらい動揺してる。 とりあえず落ち着くように言い、 何があったのか聞くことにした。 横目で相棒をみると、 小馬鹿にしたような顔で俺を見てる。 なんだか気味が悪かった。 弟の話を聞くと、 変な電話がかかってきたと思ったら、 いきなりチャイムを鳴らされた。 見に行っても誰もいないのに、 家の周囲を誰かが窺ってる気配がする。 犬みたいな息遣いが聞こえるとのこと。 怖くて仕方なくなってきたところで、 俺からの電話がかかってきたそうだ。 俄かには信じられない話だが、 隣に座ってる男の意味ありげな言葉と、 現実に弟が怖がってる様子からして、 何かが起こっているのは確かなようだった。 しかし俺は仕事中だし、 親父は出張で県外に出ている。 すぐ助けに行くわけにはいかなかった。 どうしようと思いながら一生懸命弟をなだめていると、 横からひょいと携帯を取り上げられた。 「何しやがんだ!」 と隣を見ると、 そいつはまた飄々と話し出した。 「あ、俺君の兄貴の同僚。 外になんかいるんでしょ? とりあえず家の中にいれば安全だから。 夜が明けるまで我慢しててよ。 …大丈夫だって。 布団被って寝ちまえばすぐ朝だよ」 このあまりの口調の軽さに、 思わず携帯を取り返そうと手を伸ばしたが、 一足先に切られてしまった。 取り上げて慌ててリダイアルしようとすると、 「さ、仕事仕事」 と車を下りてさっさと行ってしまった。 いらいらと不安と焦りとで、 やっと仕事から解放されると、 俺は着替えもそこそこに実家に向かった。 実家へは車で40分くらいのところにある。 もう夜は白々と明け始めていた。 と、そこへ奴までついてきた。 むっとし、 「て何でお前が来るんだよ」 と言うと、 「弟のピンチ教えてやったの俺じゃん」 と、ニヤニヤ人の悪い笑みを浮かべていた。 本心ではすげー嫌だったけど、 確かにこいつのお陰で 弟の異常を知ることが出来たのは間違いない。 勝手に助手席に乗り込んだ奴を無視して、 俺は車を出した。 俺の実家は古い平屋で、 ガキの頃から住んでいる。 親父の趣味で庭はこざっぱり整えられている。 玄関周りに異常はない。 俺は中に入ると弟の部屋へ向かった。 弟は部屋で布団に潜ったまま、 俺の顔を見るなりすごい勢いで泣き出した。 普段は生意気で気が強い弟が、 まるで小さい子供みたいに俺に縋って泣き出したんだ。 それほど怖い思いをしたってことだ。 何があったのか聞こうにも、 泣きじゃくって止まらない。 俺はどうしていいかわからなくて、 ただ呆然と弟の背中をなでるしかなかった。 すると、 いつの間にか奴が部屋に入って来ていて、 面白そうに俺達を見下ろしていた。 俺はその態度にムカついた。 「一体なんなんなんだ」 と、 「お前が何かしたんじゃないか」 と怒鳴り付けた。 奴はまた小馬鹿にするように笑って、 「そんな訳無いじゃん」 と言った。 「しっかりした家でよかったな。 じゃなきゃ今頃大変なことになってたかもな」 俺は意味がわからず、 たぶん相当嫌な顔をしてたと思う。 奴は苦笑いをして弟を覗き込んだ。 「で?どうやって連れて来ちゃったわけ?」 弟はもうだいぶ落ち着いたみたいだったが、 その質問の意味がわからないみたいで、 怪訝な顔をしていた。 しばらくして怒りが甦ってきたみたいで、 「知らねーよ、 連れてくるってなんだよ、 お前誰だよ」 と毒づいた。 その辺でやっといつもの弟に戻ったので、 俺は何があったのかを尋ねた。 だが、弟にも何が起こっていたのかよく判っていないみたいで、 電話で聞いたのとあまり変わらない答えしか得られなかった。 曰く、夜携帯が何度も鳴って、 取ろうとするたびに切れる。 しかも非通知で。 イライラしてるうちにたまたま繋がって、 変な女の声がして、 その後チャイムが鳴ったらしい。 見に行ったが誰もおらず、 気味が悪くなって布団に入ったら、 窓の外に何かの気配がし始めたらしい。 俺の家の周りは、 防犯用に砂利が敷いてある。 誰かがいたならその音がするはずなのに、 何の音もなくただ気配だけがしてて、 そのうち犬みたいなハッハッと息の音がし始めて、 パニックになり始めた頃に俺からの電話があったらしい。 そこで、 電話を代わった奴がそいつだと気付いたらしく、 また怒り出した。 「大丈夫とか言って全然大丈夫なんかじゃなかったよ! 窓とかコンコン叩くし いつまでたってもいなくなんねーし! なんなんだよあれ!」 奴はまくし立てる弟をまあまあと制し、 しれっとした顔をして、 「窓開けなくてよかったな。 開けてたらお前、 今頃ただじゃ済まなかったかもしれないぜ? それに、朝になったらいなくなったろ?」 そう言われて、 弟は言葉に詰まったようだった。 恐怖が甦ったのか、 俺のシャツを強く掴んでいる。 そんな弟を見て、 奴はどっかり腰を下ろした。 「一応家の周り見てみたんだけど、 確かに何かいたね。 さっき言ってた犬と、女。 あ、今はいないぜ? 諦めて帰ったみたいだ。 お前、最近犬とか見なかった?」 見なかったかと言われても、 近所には犬を飼ってる家なんてたくさんある。 おのずと見る機会はある。 弟もそう言ったが、 そこでふと思い出したらしく、 ぼそっと 「学校の帰りに犬の死体を見た」 と言った。 この辺は割と田舎で、 山の近くではよく動物を見かける。 最近では野良犬も増えていて、 たまに車に撥ねられた死体を見かけることがあった。 だが、それもまれとは言えよくある事だった。 その時も、弟は 「嫌なもん見ちゃったな」 くらいの気持ちだったらしい。 「その犬ってさ、 黒くてでっかくなかった?」 奴が言うと、 弟は恐る恐るうなづいた。 「でさ、そこって前に人死んでねぇ?女」 それには俺がうなづいた。 確かに弟の通学路では、 何年か前に交通事故があった。 改めて弟にその犬の死体のあった場所を聞くと、 まさに同じ場所だった。 俺は気味が悪くなり奴を見ると、 奴は「それそれ」と言って弟を指差した。 「それ、連れて来ちゃったんだよ」 俺と弟は沈黙してしまった。 理解の範疇を越えた奴の話に、 ついて行きかねたんだ。 大体そこを通り掛かっただけで、 なんで連れてくるとかいう話になるんだ。 俺は怖い話は好きだが、 俺自身はまったくの零感なので怖面白いというか、 話半分で見ていた。 そんなのネットの中だけの話で、 まさか自分の周りでそんな事が起きるなんて考えもしなかった。 勿論弟だって零感だ。 家族にも親戚にもいない。 その沈黙を破ったのは弟だった。 「何でついてくるのさ、 俺まったく関係ないじゃん!」 「何か波長が合っちゃったんじゃね?」 「波長って…」 「たまにいるんだよね~、 そうやって連れて来ちゃう奴って」 俺はなんだか奴が薄気味悪くなってきた。 態度のデカさもそうだけど、 この状況と、こいつの口調の軽さとのギャップが気持ち悪かった。 「ま、でも家の作りもしっかりしてるし、 方角も悪くないし、 しばらくしたら諦めていなくなると思うよ。 中に入れない限りな」 そう言うと、 奴はやれやれといった感じで立ち上がると、 「じゃ俺帰るわ。 〇〇さん送ってってよ」 と部屋を出て行った。 時計を見るともう8時を過ぎていた。 俺は 「今日はもう学校行きたくない」 と言う弟に無理矢理支度させ、 車に押し込んだ。 助手席にはちゃっかり奴が乗り込んでいる。 件の道は避け、 始業にやや遅れて学校に送り届けた後、 奴の足が置いてある職場まで送って行った。 奴は降り様に、 「〇〇さん明日のシフト代わってあげるよ。 弟についててやれば?」 と言った。 いい奴なんだか嫌な奴なんだかわからない。 「すまん」 と礼を言うと、 人の悪い笑みを浮かべて、 「今度酒奢ってくださいよ、〇〇先・輩」 と言い残し、 自分の車に乗り込むとさっさと行ってしまった。 とりあえず俺はまた実家に戻り、 弟からの連絡があるまで爆睡し、 迎えに行きがてら花と線香を買い、 帰りにその犬の死体があったという場所で(死体はもう無かった)、 二人で両手を合わせて帰ってきた。 その晩は二人して仏壇のある部屋で寝て、 次の日も学校まで送り、 出張から帰ってきた親父に事の顛末を簡単に説明して、 バトンタッチしてアパートに帰った。 その後は特に何もない。 事務所で奴と顔を合わせた時に、 いつ飲みに行くかを聞かれただけだった。 ・怖い話ノンフィクション1 (A CUP OF TEARS)
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