俺ドライブが好きで、
昼は混んでるのが嫌だから夜よく走るのね。
とある連休に名古屋の友達と遊んだ後、
一人でドライブに出かけた。
三重の実家へ帰るつもりで、
滋賀方面へ山を越えて遠回りしようと思って車を走らせた。
深夜2時頃、
地元の人なら良く知ってるかもしれないけど、
北勢地域の大きな神社がある町あたりで眠くなったので、静
かに寝れそうな場所を探してた。
神社を越えて暫らく走ると、
田んぼ道に出て河原らしいところに出たんで、
そこで寝ることにした。
車のライトを消すと真っ暗で月明かりも無い。
目を閉じると微かに河の流れる音と蛙の鳴き声が聞こえる。
俺はそのままウトウトしだした。
どれくらいか経って、
地に靴が刷れる音が複数聞こえてきた。
「地元の人が夜回りでもしてんのか...」
最初はそう思ってウトウトしたままだったんだけど、
どう考えてもこの時間に
田んぼばっかの河原に来るのはおかしい。
懐中電灯の灯りも見えない。
どう考えても何か嫌な感じがしてきた。
靴の音が近づいて来る...。
10人?それ以上?
話し声は聞こえない。
そして案の定俺の車の横で音が止まった。
次の瞬間窓をバンバン叩かれる。
もう凄い勢いで。
何人が叩いてるのかわからないぐらい。
悪戯にしても度が過ぎている。
窓の方に目をやると
真っ黒な人(昔話に出てきそうなのっぺりとした人影みたいなモノ)
が窓を叩いている。
手とかは見えない。
黒い何かが窓を叩いてる。
囲まれてる。
怖いけど睡魔には勝てなかった。
バンバン叩かれる中、
俺はウトウトしだした。
そしたら今度は揺する揺する。
車を叩く+揺するの連続攻撃。
段々人数が増えてるような気がした。
怖い。
怖いけど睡魔には勝てなかった。
叩き、揺すられながら就寝。
で、結局その日の昼頃目が覚めたんだが、
河原で寝たはずが、何故か「峠」。
田んぼもないし河原もない。
ナビで場所を確認すると、
寝たと思われる場所から数十キロ離れた峠道にいた。
車に傷も叩いたような跡もない。
最初から峠で寝たのか、
河原から寝ながらにして自走したのか、
狐に化かされたのか。
悪戯を無視して寝てしまった俺への腹いせに、
車ごと移動させた気がしている。
それとも本当に邪魔だったから移動させたのか、
不思議な経験だった。