子供の頃、
住んでた団地でネズミが集団で住み着いた。
食べ物は包装や紙箱を破って食い荒らすし、
石鹸や服のボタンもかじられて全滅。
天井裏は走り回ってうるさいし、
ネズミ取り(カゴ状の罠)を仕掛けたら捕まる捕まる。
で、捕まえた後のことは
子供である自分は関知してなかったんだが、
結構な残酷な方法で親が殺してたことを知った自分と姉は、
可哀想だからと逃がすことにした。
ネズミの入った罠のカゴを持って、
家から10メートルくらいの下水溝に行って、
(家の前のドブと繋がってるからはっきりいって意味ないんだが)
「もううちに来ちゃだめだよ、殺されちゃうからね。
お前の家族にも来ちゃだめって言うんだよ」
と何度も言い聞かせてからカゴを開けて逃がした。
ネズミはすぐさま溝に入ったが、
一瞬してから頭だけ覗かせて
「チュー」
と一鳴きして、
今度こそ姿を消した。
自分と姉は
「ありがとうって言ったね!」
「言ったよね!今!」
と大層ほっこりした。
以降10年近く、
何の対策もしなかったにも関わらず
ネズミが家に現れることはなかった。
姉と自分の間では今でもほっこりした不思議話なんだが、
親すら信じてくれない…。